【解説】ローマ字表記 ヘボン式基本に(解説 2025-06-23付)
文化庁の文化審議会国語分科会は20日、「改定ローマ字のつづり方」答申素案をまとめた。日本語に基づく訓令式から英語に基づくヘボン式を基本とし、約70年ぶりに内閣訓示を見直す方針を固めた。秋ごろに開催予定の文化審議会で文部科学大臣に答申する。
ローマ字の表記は「訓令式(例・koube)」と「ヘボン式(例・kobe)」があり、昭和29年から内閣訓示によって訓令式を基本に採用。学校では訓令式を中心に指導している。
ローマ字は当初、国語の文章をつづることを想定していたが、現在は「地名、駅名、店名」「海外向けに人名・社名を伝える」など固有名詞を中心とした活用が広がっている。日本語に基づき表記する「訓令式」は十分に定着しておらず、パスポート、道路標識、各種案内表示は法令等に基づいてヘボン式が採用されている。
審議会は文科大臣の諮問を受け、昨年6月から統一的考えを審議。日本語を母語としない人々を含め、誰にとっても使いやすい仕組みになるように考慮し「si」は「shi」、tuは「tsu」、tiは「chi」、huは「fu」とするヘボン式を基本とするつづり方を採用する方針を固めた。
方針は法令、公用文書、新聞、雑誌、放送などの一般の社会生活で書き表す場合のよりどころになるもの。国際的に通用している「yen」「judo」「matcha」のような表記に関しては、混乱や経済的負担が生じないよう、直ちに表記の変更を求めず、慣行を踏まえて対応する。
内閣訓示の改定後、改定の趣旨の導入を図る。学校教育では「その趣旨、内容が考慮されるとともに、指導のよりどころとして円滑に導入されることが望ましい」と記載。児童生徒の発達段階に配慮した適切な措置に対応を委ねる。
(解説 2025-06-23付)
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