【解説】英語教育の在り方検討へ(解説 2025-06-26付)
阿部俊子文部科学大臣は24日の記者会見で、AIの活用を含めた英語教育の在り方を検討する専門部会を設置する考えを示した。次期学習指導要領に向けて英語教育の改善の方向性を協議するほか、英語教育の意義の再整理を行う。
生成AIの登場で翻訳の精度が向上し、プロンプトに問題文を入力することで自然な英訳・和訳を行うことが可能になった。音声の認識機能が向上し、発音の正しさを一定程度確認できるようになったほか、英会話の練習相手になるアプリも多数開発されている。
翻訳技術の高度化は個別学習に大きな影響を与えているが、多言語対応が必要になる外国人の児童生徒の学習や保護者対応にも活用できるため、教育分野に特化したサービスの開発が一層進むことが予想される。
一方、英訳・和訳の宿題で語学力を把握することはもはや困難であり、子どもたちに英語を学ぶ意義を伝えることも重要な課題に。AIの技術を効果的に活用し、子どもたちの力を引き出す英語教育の在り方が問われている。
会見で阿部大臣は「学習指導要領で示す単に日本語を英語に置き換えるのではなく、文化の理解、また相手に配慮していきながら気持ちや考えを伝え合う力、態度を育成する」考えは今後も重要になっていくとした上で「手軽で質の高い翻訳・通訳も可能になる中、子どもたちに一層意欲を持って英語を学んでもらうためにも、英語教育の在り方をあらためて検討し直す必要がある」と述べた。
専門部会の設置時期について文科省の関係者は、教育課程特別部会で次期学習指導要領全体の方向性がまとまったあとになる可能性が高いとしている。10年前と同様のペースで議論が進んだ場合、早ければ本年度の後半から議論が始まることが予想される。
(解説 2025-06-26付)
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