【解説】性暴力防止へ中間まとめ案
(解説 2025-07-02付)

 こども家庭庁の検討会は6月30日、こども性暴力防止法施行に向けた中間まとめ案を了承した。子どもに関わる仕事に就く者の性犯罪歴の確認を義務付ける「日本版DBS」の詳細に加え、学校設置者や学習塾などの認定事業者で義務化される安全確保措置を規定。年内をめどに策定するガイドラインでこれらの詳細を固め、8年12月25日からの施行に備える。

 安全確保措置は「早期把握」「相談」「調査」「保護・支援」「研修」「犯罪事実確認」「防止措置」の7点。定期的な面談・アンケート、子どもが相談しやすい相談体制の整備・周知、犯罪事実確認の判断プロセスなどをまとめた。

 監視カメラやSNSの記録など客観的な証拠を収集する重要性も明記。監視カメラ使用に当たっては子ども・保護者に意向を丁寧に説明し、同意が得られた場合にのみ行うこと、私用端末は録画・録音に使用しないことなどの留意事項を示した。

 学級数の変動・欠員によって緊急で職員を雇用するなどやむを得ない事情も想定されることから、雇用後に犯歴確認を行う「いとま特例」を規定。職務に従事してから3ヵ月以内、私立学校の合併など組織変更上の事情がある場合には6ヵ月以内に事実確認を行い、当該期間においては「原則、児童等と一対一にさせない」「管理職による定期的な巡回・声かけ」など必要な措置を講じるとした。

 施行後の3ヵ月間は新規採用者を優先して犯罪事実の確認を行い、現職者に関しては11年12月24日までに全ての確認を終了する。会議では、法施行直後に申請が集中し、事実確認に時間を要することを懸念する声があった。一部の教育委員会は、特に「いとま特例」の3ヵ月間で確認が間に合わない可能性があるため、見直しを求めた。

(解説 2025-07-02付)

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