【解説】現行制度で可能な工夫例
(解説 2025-06-18付)

 全国の小学校では、45分の単位時間を5分短縮するほか、15~20分の短時間、100分の長時間を活動の特質に応じて組み合わせるなど多様な工夫が行われている。近年週28コマに平準化する小学校が増加しているものの、平準化のイメージが持ちにくいとの声があった。

 このため文部科学省は、現行制度でも可能な教育課程の工夫例をまとめ、中教審の特別部会で報告。授業日数、学校行事、欠課の時数などを柔軟に見直し・調整することで、週28コマで授業時数を編成している全国の事例を取り上げている。教師1人当たりの持ちコマ数の減少につながることから、学習指導要領の改訂を待たず、積極的な取組を促していくとしている。

 年度始めの始業日を数日間後ろ倒しにすることで、異動した教師や新採用教師の余白を生み出す取組も現れている。熊本市教委は新年度の準備のため始業日を1日後ろ倒しし、冬季休業日を2日間延長することで新年度の準備や受験事務多忙化の緩和を図っている。文科省は今後、こうした時間マネジメントの好事例について教育委員会に提供する。

 授業時数配分の一定の弾力化を可能にする授業時数特例校制度は4年度から導入され、道内では小樽市立忍路中央小学校など計21校が指定を受けている。1割を上限に各教科等の標準授業時数を下回って教育課程を編成し、別の教科等の授業時数に上乗せするもので、伝統的な文化教育を充実させるために音楽の授業時数を増加したり、探究的な学習活動のため総合的な学習の時間の授業時数を増加したりするなど、学校・教育の実態に照らした教育が可能になっている。

 今後は国への申請を不要とし、教師・児童生徒の双方に余白を生み出す新たな制度へと移行する。

(解説 2025-06-18付)

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