【解説】電子書籍の導入広がる
(解説 2025-06-13付)

 6年度に公立学校に電子書籍を導入した全国の自治体は14・3%、公立図書館で34・8%となり、コロナ禍から徐々に上昇していることが文部科学省の調査で分かった。課題は「導入の予算確保」「人材確保・育成」が多く、公立図書館と学校図書館のシステムを連携させて解決を図る動きも現れている。

 公立学校の電子書籍の導入率(一部を含む)は2年度の2・0%、4年度の8・5%、6年度の14・3%と上昇。公立図書館では2年度の9・8%、4年度の29・4%、6年度の34・8%と徐々に伸びている。

 課題は学校・図書館いずれも「電子書籍導入の予算が不足」が約5割と最も多い。次点として学校は「電子書籍導入に関する知識が不足」が33・5%、図書館は「費用対効果が低い」が40・1%と続いた。

 導入予定のサービスでは、学校では期間限定の読み放題「サブスクリプション型」が36・8%、図書館ではコンテンツによってアクセスなどの制限がある「コンテンツ買い切り型」、一定期間の利用制限やアクセス制限がある「有期・アクセス回数上限有りの契約型」がいずれも約6割と多い。

 調査結果ではこれらの課題に対応する全国の事例を紹介。道立図書館では5年度から道立高校と協議を行って生徒の一括利用登録を実施し、利用者の大幅な増加につなげている。学校司書・教員が電子書籍の基礎知識を学ぶ研修会を開催し、人材の確保・育成を図っている自治体もあった。

 愛知県日進市では、4年度から学校図書館・市立図書館のシステムを連携させて一括で管理する仕組みを構築。授業での効果利用や読書履歴の引き継ぎも行っている。導入費用を抑え、スムーズな導入を図ることができるため、取組を推進する有効な手法の一つとしている。

(解説 2025-06-13付)

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