【解説】中学校35人学級に400億円
(解説 2025-06-19付)

 阿部俊子文部科学大臣は17日の記者会見で、中学校における35人学級導入に伴う教員定数約1万7000人の改善に400億円程度を試算していることを明らかにし「今後精緻な試算を行った上で必要な財源を確保していく」と述べた。

 小学校の35人学級は3~7年度の5年間(道内では1年先行)で段階的に実現。国は今後、幼稚園の学級編制を35人から30人へと引き下げる制度改正を検討している。中学校の35人学級は8年通常国会に関連法案を提出し、8年度から段階的に導入。中学校の学級編制基準の改正は昭和55年以来約40年ぶりとなる。

 日本の学校の平均規模感は諸外国と比較しても大きく、OECDの2019~2020年調査によると初等教育における1学級の児童生徒数は日本が27・2人(OECD平均20・2人)、前期中等教育に関しては31・9人(同22・6人)。初等教育は南米のチリに次ぐ2番目、前期中等教育は最も高い数値になっている。

 独自に少人数学級を編制する市町村も多い。文科省の5年度調査によると中学校の学級編制は「31~35人」が25%、「36~40人」が25%、「26~30人」が20%、「21~25人」が6%、「20人以下」が5%となっており、平均的な学級規模感は地域差もある。文科省は4~7年度の4年間をかけて少人数学級の効果を検証する実証研究を進めており、児童生徒の学力・社会情動的スキル・学校適応感のほか、教師の働き方改革・精神的健康に与える影響を調査・分析し、本年度末に最終取りまとめを公表する。

 児童生徒の実態が多様化する中、一人ひとりの教育的ニーズに応じたきめ細かな指導を可能にする教育環境の整備は喫緊の課題になっており、今後必要な教員を配置するための計画的・安定的な人材の確保が求められている。

(解説 2025-06-19付)

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