【解説】性暴力根絶へ規律徹底を
(解説 2025-07-03付)

 児童生徒への盗撮やわいせつ事案の多発を受け、文部科学省は1日付で全国の都道府県・指定都市教委に服務規律の徹底を求める通知を送付した。盗撮防止の留意事項のほか、私用スマートフォンを使って児童生徒の撮影を行わないこと、許可なしに学校用端末から画像を校外に持ち出さないことを求めた。

 6月は全国で教員の逮捕事案が相次いで発生。名古屋市内の小学校では女子児童を盗撮し、SNS上で画像を複数の教員間で共有していたことが明らかになった。広島市では小学校の教員がわいせつ目的で児童を誘拐・監禁した疑いで逮捕。福岡県では着替え中の生徒を盗撮していた高校の教員が逮捕された。

 1日の記者会見で阿部俊子文科大臣は「教師から児童生徒への性暴力は、決してあってはならないことであり、断じて許されるものではない」と強調。近日中に都道府県教委の教育長を対象とするオンライン会議を開催し、服務規律の徹底を呼びかけるとし「あらゆる機会を捉え、教師による児童生徒性暴力等の根絶に向けた厳正な対応のさらなる徹底を図る」と述べた。

 教室内に防犯カメラを設置する考えについては「複数の人の目が届く状況で性被害の発生は想定し難く、子どもたちの日常の活動が全て録画されているという状況の是非などを踏まえると、様々な議論がある」とした上で「1対1や少人数の場面など、複数の目が届きにくい限定的な場面での活用は考えられる」と述べた。

 教室内の防犯カメラの設置は、いじめ・暴力行為の抑止力の観点から熊本市教委で検討を進めている。異常の早期検知や問題発生時の検証にも効果が期待される一方、児童生徒のプライバシーの配慮、保護者の不安、監視されることによる教職員の心理的な影響を指摘する声もある。

(解説 2025-07-03付)

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