【解説】高校生の科学意識が低迷
(解説 2025-07-08付)

 日米中韓4ヵ国の高校生の意識を比較した結果、日本の高校生は理科系の学習への自己効力感や探究心が最も低い水準にあることが国立青少年教育振興機構の調査で分かった。「科学の技術・知識を学ぶことが困難」との回答は日本が65・6%と最も多く、学習機会が国際的にも乏しい状況を示唆している。

 各国の調査機関を通し、106校1万6117人から回答を得た。調査期間は6年9月~7年1月。

 日本の高校生が将来役立つと思う科目は外国語の75・8%、国語の41・9%、数学の39・9%、化学の15・4%、生物の14・4%などと続く。「社会に出たら理科は必要ない」と考えている割合は45・9%で4ヵ国で最も高かった。

 学校の学習活動として「教科書による観察・実験」「マルチメディアの活用」「プログラミング」「模型・実験の動画」を挙げた日本の高校生は4ヵ国中で最も多かったが、高校生自身が希望している学習活動は多くの項目で学校の実施率を下回り、学習意欲の低さが顕著になっている。特に「自分たちで課題を設定、情報収集・整理・分析・まとめをする活動をしたい」と回答した割合は11・3%で最も低かった。

 興味・関心のある領域を調べた結果、日本の高校生は動植物、天文、人体の分野で7割と高い。AIに関しては5割、ロボットに関しては4割、ビッグデータに関しては3割となっており、これらは中国が7割以上と突出して高かった。

 文教大学人間科学部の青山鉄兵准教授は「理科離れ」の背景に学校内外での主体的・探究的な学習機会の不足があると分析。「格差に配慮しつつ、大学や企業、地域社会が連携し、全ての青少年に探究・STEAM教育の機会を提供する環境を構築していくことが重要」と指摘する。

(解説 2025-07-08付)

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