【解説】通級で教科指導可能に
(解説 2025-07-09付)

 中教審の教育課程企画特別部会は、次期学習指導要領に向けて通級指導の教育課程の見直しを検討している。障がいによる困難の改善・克服を目的とした従来の指導に加え、各教科の指導を行うことができる特例的な取り扱いを創設。授業時間数や修得単位数の上限も見直し、校長判断で柔軟に制度を利用できるよう改善を図る。

 通級指導を受ける児童生徒数は19万8300人となり、20年前と比べて5・4倍に増加。特に自閉症、学習障がい、注意欠陥多動性障がい、情緒障がいで急増している。現行の制度では各教科の指導の特例的な取り扱いができず、学ぶ内容や時間数が画一的であるため、障がいの実態に十分に配慮した指導が困難になっている。

 このため、4日の特別部会において教育課程の見直し案を提示。障がいの状態によって特に必要がある場合、各教科の指導を可能にする特例的な取り扱いを創設するほか、各教科の目標・内容の一部を障がいの状態を考慮して入れ替え、取り扱わないことも可能にすることを提案した。

 年間35~280単位時間までを標準とする授業時数の上限も見直し、より長時間で障がいの状態に応じた教育課程を編成できるよう改善を図る。障がいによる困難の改善・克服を目的とした指導が十分に行われていない例もあるため、不適切な運用を防ぐ仕組みも検討する。

 中教審は多様化する子どもたちに対応するため、学校単位と児童生徒単位の「2階建て」構造で教育課程編成の柔軟化を進めることを検討。教育課程の特例では、通級指導のほか教育支援センターに通う不登校児童生徒、特定分野に特異な才能のある児童生徒、日本語指導が必要な児童生徒など幅広く制度を新設・拡充する。

(解説 2025-07-09付)

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