【解説】一次選考共同実施へ2案(解説 2025-05-27付)
中教審の初等中等教育分科会教員養成部会は23日、教員採用選考試験の第1次選考の全国共同実施の在り方について審議した。第三者機関が作問から試験まで一括して処理する「統一試験方式」と、作成問題を活用して従来どおり都道府県・指定都市教委が試験を運営する「共通問題配布方式」の2案を提示。問題の質・量の均一化によって受検者の増加を図るとともに、教育委員会の負担軽減によって2次選考での人物重視の選考につなげる。
現在、公立学校の教員採用選考試験の第1次選考は各都道府県・政令指定都市教委が独自に実施し、教育委員会や作問に協力する教員の負担になっている側面がある。作問を外部委託化している石川県の例もあるが、多額の費用負担を要するなどの課題も生じている。
会議では文部科学省が①統一試験方式②共通問題配布方式―の2案を提示。①は第三者機関が一括して処理するため負担軽減の効果が大きいものの、自治体独自の問題の追加・改変はできない。②は大きな仕組みを変更せず、自治体の裁量を持たせることが可能な反面、負担軽減の効果は限定的などいずれも一長一短。
出席した委員からは、教員採用試験の情報が広く発信されることで対策が立てやすくなることから「“自分も受けてみよう”と思う受検者の増加に期待できる」と①に賛意を表明。一方、自治体が採用予定者を予想することが困難になるなどの懸念も指摘された。
第1次選考の共同実施を巡っては、平成27年度に教育再生実行会議・中教審が必要な検討を行うよう提言した経緯がある。当時の調査によると、共同問題を利用したい教育委員会は費用負担が生じない場合で73・5%、費用負担が生じる場合で55・9%で、費用分担の在り方が課題の一つになっていた。
(解説 2025-05-27付)
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