【解説】財源確保 最大の課題に
(解説 2025-08-21付)

 「3分類」を見直して国の指針に位置付けることは、地域・学校の裁量を確保しつつ、実情に応じた働き方改革を推進するねらいがある。

 一方、これまでの3分類の取組状況は自治体・学校間で差が大きい。国の6年度調査によると、登下校時の見守りを地域住民など学校以外の主体が行っている教育委員会は72・6%、授業準備における支援スタッフの参画率は80・0%といずれも改善傾向にあるが、学校徴収金の公会計化は46・7%、成績処理における採点ソフト導入は49・4%にとどまっている。

 実効性確保に向けた課題は多い。自治体においては財政力や首長部局との連携体制、学校においては教員の不足・欠員、カリキュラム・オーバーロード、他職種と連携する時間の確保も障壁になっている。

 19日の特別部会では、国による財政的支援の必要性について多くの委員が言及。「外部委託には財源が必要であることが最大の課題。実施に必要な財源について文部科学省が責任を持つことを明記してほしい」「有償ボランティアによって持続可能な支援体制を構築することが重要」と意見した。見直し案では事務職員の役割が多く示されたことを踏まえ、専門性に応じた協力を得るためにも文言の修正を求める声も。

 過剰な苦情・不当な要求など学校単独での対応が困難な案件の増加も多忙化に拍車をかけており、法的根拠に基づき助言を行うスクールロイヤーの重要性も一層重要になっている。

 文科省は本年度から民間事業者が苦情対応を担うモデル事業をスタート。静岡県裾野市では6月から外部機関のコーディネーターやスクールロイヤーが窓口となって教職員の負担軽減や対応の質向上の影響を検証しており、本年度末に報告をまとめる。

(解説 2025-08-21付)

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