【解説】ローマ字表記 ヘボン式へ答申
(解説 2025-08-22付)

 文化庁の文化審議会は20日、「改定ローマ字のつづり方」を文化庁に答申した。日本語を母語としない人々を含め、誰にとっても使いやすい仕組みになるよう考慮し、ヘボン式によるつづり方を採用。早ければ年内に内閣告示を改定し、法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など社会生活で書き表す際のよりどころとする。

 昭和29年にローマ字のつづり方が内閣告示として示されて70年が経過。日本語に基づく訓令式(例・Tusima)は社会生活に十分に定着してこなかった一方、英語に基づくヘボン式(例・Tsushima)は地名・駅名・店名・人名・社名など固有名詞を中心に活用が広がっている。

 文化審議会は昨年5月に文部科学大臣の諮問を受け、ローマ字のつづり方の統一的考えについて審議を開始。審議の結果を取りまとめた。

 個人の姓名・団体名に関しては当事者の意思を尊重。「judo」「matcha」など国際的に通用している表記に関しては直ちに表記の変更を求めず、慣行を踏まえて対応する。科学・技術・芸術などの専門分野、過去の著作・文書、情報機器の入力方法には影響しない。

 英語の影響で長音符号を用いない表記が広がり、「おおの」「おの」がいずれも「Ono」と表記されている。このため音の長短が語の判別に関わる場合、必要に応じて母音字を並べる方法(例・Oono、Ono)を周知する。

 小学校の国語では訓令式を中心に指導が行われているが、ヘボン式に慣れている保護者から「学校で教わっているつづり方が違う」との声も上がっていた。このため答申では学校教育においてもヘボン式を円滑に導入することが望ましいとし、学校教育を所管する文科省に検討を委ねるとした。

(解説 2025-08-22付)

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