【解説】諸外国の教育課程を報告(解説 2025-08-25付)
国立教育政策研究所は、4~6年度のプロジェクト研究「新たな学びの実現に向けた教育課程の在り方に関する研究」の報告書をまとめた。国内外のカリキュラム研究の動向を踏まえ、現行学習指導要領における「見方・考え方」の現状や課題を整理。中核的な概念の構造化、柔軟な教育課程の編成など次期学習指導要領に向けた方向性にも反映されている。
学習指導要領改訂の審議に資するデータの提供を目的として、諸外国・地域や国内における先進的な取組を比較調査した。
教育課程の内容を概念化・構造化する動きは各国で進み、韓国・シンガポールでは教科等横断的に重要な共通概念などを指す「ビッグアイデア」を導入。主要概念を名詞の形で分解するか、詳細に記述するかの違いはあるが、教育目標(人間像)に照らしたコンピテンシーベースへの教育に向かう動きは共通している。
教科等横断的な学び、探究的な学びは、地域の事情に応じて多様な方策が取られている。フィンランドや台湾では、一定の枠組みのもと、授業時間の下限など学校現場に裁量を与える柔軟な教育課程編成を促し、国・行政機関が各種リソースを用意する構造になっている。中教審では現在、各教科等の標準授業時数を減じて学校の実態に応じた教育活動に充てる「仮称・裁量的な時間」の創設を検討しており、次期学習指導要領に向けて検討を進めている。
報告書の随所において、情報技術を活用し柔軟な教育課程を編成する動きが報告されている。21世紀に必要なカリキュラム・学習観・学校組織、教師教育を含む一体的な改革にテクノロジーを位置付ける必要に触れ、位置付けによって各国・学校の改革の度合いを把握する基礎研究の必要があると指摘する。
(解説 2025-08-25付)
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