【解説】父の経験 虐待リスクに影響(解説 2025-08-27付)
子どもの頃に家庭内暴力を経験した父親は、子どもを虐待するリスクが約2倍に高まることが、国立成育医療研究センターの調査で分かった。現行の支援制度では父親が単独で相談できる場が限られている課題があるとし「母親・父親の区別を問わず、必要な支援が適切に届けられる仕組みを検討することが必要」と指摘する。
全国の5年度の児童虐待相談対応件数は過去最多となる22万5509件を記録。子どもの命が失われる重大な事案もあり、虐待の防止は社会全体で取り組む喫緊の課題になっている。
研究は、同センターの研究員・研究グループと東京大学大学院、東北大学大学院の関係者らと共同で実施。3年8月に実施した全国インターネット調査をもとに、父親1248人のデータを分析した。
調査の結果、全体の13・6%の父親が心理的・身体的・経済的・性的な家庭内暴力を経験したと回答。これらの父親がいる家庭では、子どもへの身体的虐待のリスクが約2・01倍に上昇した。
心理的虐待では約2・08倍、ネグレクトでは約3・10倍、その他、何らかの虐待では1・98倍にリスクが上昇しており、家庭内暴力の被害者になった父親の影響が子どもに及ぶ可能性を示唆している。
少子化の影響で父親を取り巻く環境も変化し「父親の孤独」と言われる状況もある。同センターは父親が支援から取り残されがちであるという現実に目を向ける必要があるとし「性別にかかわらず、全ての親と家庭を支援の対象にすることが家族全体の福祉の向上につながる」と指摘する。
同センターはことし1月、「父親支援マニュアル」を作成。当事者同士でつながるピアサポートの取組などを取り上げ、支援のポイントを示している。
(解説 2025-08-27付)
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