【解説】サバティカル制度導入を

（解説 2025-09-03付）

　中教審の教員養成部会は１日、「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策」に関する論点整理案をまとめた。教師の質の向上と量的確保の両立に向けた施策の方向性を整理。教員免許の取得に必要な単位数の見直しや、研究・研修休暇（サバティカル）制度の導入を提言した。

　論点整理案は①社会の変化や学習指導要領の改訂を見据えた教職課程②教師の質を向上させる採用・研修③多様な専門性を有する社会人等が参入しやすくなる制度―の３点が柱。

　大学の教職課程の学びは厳選し、学生が自らの強み・専門性を高める柔軟なカリキュラムにすることを提案した。過去の会議では、１種免許習得に必要な単位数を現行の６割程度に縮減して「標準免許」とし、大学の判断で積み増すことが提案されており、大学自らによる教職課程の自己点検・評価など学生の質を保証する仕組みを講じる。

　教師の質の維持・向上のため、教員採用選考試験１次試験の共同実施を推進。人材獲得競争が激化する中、国・地方一体になった広報戦略の必要があると強調した。

　現職教師が学びを深めるためのサバティカル制度の導入も提案。同制度は大学の教員などに与えられる長期休暇で、一定期間職務を離れ、自己研鑚や研究活動に専念できる。

　委員からは、教師が学び続けるための時間的余裕や人的配慮の必要性を指摘。教師の門戸拡大を進めていく中、教育学部において４年間学ぶ意義も指摘され「質の高い教員を養成するには、学部段階から“常に学び続ける”資質・能力を培うことが必要だ」との声も上がった。

　今後各論点の具体化を進め、８年夏から秋ごろに文部科学大臣への答申としてまとめる。

(解説 2025-09-03付)