【解説】自殺対策 全国で推進を
(解説 2025-09-16付)

 こどもの自殺対策に関する関係省庁会議は11日、こどもの自殺対策推進パッケージをまとめた。自殺対策基本法の一部改正を踏まえ、国・自治体が取り組む対策を五つの方向性で整理。全国の自治体において、子どもの自殺対策に「地域を問わず着実に」取り組むことを確認した。

 児童生徒の6年の自殺者数は529人と過去最多を更新。このため6月に成立した改正自殺対策基本法では社会全体で子どもの自殺対策に取り組む基本理念や学校の責務が明記された。

 パッケージでは国・自治体の施策を①教育や普及啓発②リスクの早期発見・対応③危機介入④見守り・支援⑤要因分析・関係省庁の連携等―で整理。SOSの出し方に関する教育促進、スクールカウンセラー等の配置充実、心の健康観察を推進することを示した。

 近年、特定の市販薬を過剰摂取する「オーバードーズ」やSNSが大きな課題になっている。このため文部科学省は医療機関と連携した早期対応におけるガイドラインの作成に着手。研修用動画も作成し、8年度から自治体で「法定協議会」の設置が可能になることから、こども家庭庁は協議会運営に関するガイドラインを新たに作成する。

 こども家庭庁が2月にまとめた調査では、大人より子どもの方が自殺への問題意識を持っていることが判明。相談しやすい相手は「保護者(50・3%)」「話しやすい先生(45・0%)」「養護教諭・スクールカウンセラー(38・0%)」の順に多い一方、相談しにくいとの回答も一定程度あり、相談のハードルも課題だ。自殺に追い詰められる子どもの多くが同世代の友人に打ち明ける一方、対応方法が分からず悲劇につながるケースもあり、SOSの「出し方」に加えて「気付き方」「つなぎ方」を学ぶ重要性が高まっている。

(解説 2025-09-16付)

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