【解説】日本の教育支出 諸外国下回る
(解説 2025-09-18付)

 OECD(経済協力開発機構)のカントリーノート「図で見る教育2025」によると、わが国における教育投資のGDP比は3・5%となり、OECD平均の4・7%を下回っていることが分かった。政府が1人当たりに行っている教育支出(小学校から大学まで)は1万4130ドルで、OECD平均の1万5023ドルを下回っている。

 調査対象はOECD加盟国38ヵ国。

 在学者1人当たりのGDP支出は29・4%に相当し、オーストリア、韓国、英国、米国に次ぎ高い水準にある。

 日本で片方または両方の親が大卒の場合、72%の子どもが大卒になるが、親が非大卒の場合は43%だった。この29ポイント差はOECD平均の25ポイントを上回り、教育の不平等が世代を超えて持続する傾向がある。

 教員不足は諸外国でも課題になっている。日本の未充足教員の割合は0・2%で完全な資格を持たない教員はいない。しかし、データ入手が可能な14ヵ国平均では、未充足教員の平均は1・6%、完全な資格を持たない教員の割合は4・9%だった。

 法定給与は、小学校の教員から校長の平均給与は3万4863~6万6530ドル、OECD平均では4万4153~7万4896ドルだった。他方、わが国ではボーナスや寒冷地での暖房費補助、物価高地域での追加手当などの地域手当が充実しているという。

 授業時間は小学校で年間768時間、中学校で884時間となっており、OECD平均の804時間、909時間を下回っている。

 PIACC(国際成人力調査)によると成人の読解力は世界的に低下している。日本人は高いレベルにあるが、中卒者の読解力の平均点は261点から225点と大きく低下した。

(解説 2025-09-18付)

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