【解説】防犯カメラ 心理の影響配慮を(解説 2025-09-17付)
こども家庭庁は12日、こども性暴力防止法施行に向けた中間まとめ案を示した。性暴力発生の抑止力などの観点から防犯カメラの設置は「有効」とし、学校現場の事情に応じて導入を検討する対応案を示した。
中間まとめは、子どもに関わる仕事に就く者の性犯罪歴の確認を義務付ける「日本版DBS」の骨格になるもの。国はこれに基づきガイドラインを策定し、8年12月25日からの法施行に備える。
防犯カメラの設置は①性暴力発生の抑止力②異常の早期発見③児童生徒・従事者のトラブル保護―の三つの点で有効と指摘している。一方、プライバシーの侵害や学校現場が萎縮してしまう可能性を配慮し、関係者間で設置・運用のルールを協議して定める方針を示した。
設置場所の例としては「死角になりやすい場所」「面談室など1対1にならざるを得ない場所」を挙げた。プライバシーへの配慮や現場の萎縮を防ぐため「事案発生時の検証のみで使用し、何もなければ映像は見ない・非公開にする」「責任者・管理者以外が操作できないよう設定する」などの措置を講じる。性暴力の発覚は長期間にわたるケースが多いため、データの保存期間は「可能な限り長期間」と位置付けた。
有識者からはカメラ設置の推進派が多数を占めた。「保育士や教員を守るためにもカメラの設置は有効。マイナス要因を差し引いても、初犯対策の抑止効果は大きい」と意見した。
今後の課題として、設置費用の確保、運用の在り方を検討する際の留意点の整理などが挙げられた。子どもたちへの心理的影響も懸念され、学校に設置する際の協議には心理の専門家が参画し、意見を反映させる必要性が指摘された。
(解説 2025-09-17付)
その他の記事( 解説)
【解説】日本の教育支出 諸外国下回る
OECD(経済協力開発機構)のカントリーノート「図で見る教育2025」によると、わが国における教育投資のGDP比は3・5%となり、OECD平均の4・7%を下回っていることが分かった。政府が...(2025-09-18) 全て読む
【解説】自殺対策 全国で推進を
こどもの自殺対策に関する関係省庁会議は11日、こどもの自殺対策推進パッケージをまとめた。自殺対策基本法の一部改正を踏まえ、国・自治体が取り組む対策を五つの方向性で整理。全国の自治体において...(2025-09-16) 全て読む
【解説】結婚・子育て観 男女で大差
「結婚して子どもを育てる人生が望ましい」など、結婚・子育てに対する価値観について、地域差はないものの、男女間で大きな差があることが日本財団の第72回18歳意識調査で明らかになった。 今...(2025-09-11) 全て読む
【解説】教育情報化推進計画見直しへ
文部科学省は8日の中教審デジタル学習基盤特別委員会で、学校教育情報化推進計画の見直しに着手する方針を明らかにした。生成AIの急速な普及やICT環境整備などの変化を踏まえ必要な施策を盛り込む...(2025-09-10) 全て読む
【解説】記号接地 教員への支援を
6年度全国学力調査経年変化分析調査では、調査以来初めて小中4教科の学力のスコアが低下した。分数・小数・整数といった算数の重要な概念を理解できない割合が上昇していることを示すデータもあり、学...(2025-09-09) 全て読む
【解説】災害時危険エリアの理解を
7月30日、ロシア極東カムチャツカ半島付近を震源とする巨大地震が発生。気象庁は、同日午前9時40分に太平洋沿岸東部、中部、西部に津波警報を発表した。 道教委は、津波注意報・警報の発表を...(2025-09-08) 全て読む
【解説】チャットGPT 自殺予防へ新機能
米国の㈱オープンAIは、10月中にもチャットGPTにペアレンタルコントロールを導入することを明らかにした。生成AIに相談したことで、若者の自殺を助長したとの疑惑を受けた対応。自殺などのリス...(2025-09-05) 全て読む
【解説】サバティカル制度導入を
中教審の教員養成部会は1日、「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策」に関する論点整理案をまとめた。教師の質の向上と量的確保の両立に向けた施策の方向性を整理。教員...(2025-09-03) 全て読む
【解説】高校無償化へ税制改正を
文部科学省は8年度予算概算要求において、高校の授業料無償化に向けた財源確保の税制改正を求めた。機構改正では初等中等教育局において「高校振興課(仮称)」を新設することを要望。高校無償化対応に伴...(2025-09-02) 全て読む
【解説】親子間「会って話す」が大切
SNSが普及する中でも、親子間のコミュニケーションは中学生、保護者共に「直接会って話す」ことを大切にしていることが、㈱ベネッセコーポレーションの調査で分かった。デジタル社会にあっても、直接...(2025-09-01) 全て読む