【解説】教員免許の在り方議論へ
(解説 2025-09-24付)

 中教審の教員養成部会は19日、教職課程の在り方を検討するワーキンググループ(WG)および作業部会の設置を決定した。教員免許状の必要単位数を見直すほか、幼稚園と特別支援学校、養護教諭・栄養教諭の免許状の在り方を議論。社会人の入職促進に向けた制度の在り方も俎上に載せる。

 中教審は学習指導要領の改訂と並行し、教職に多様な専門性・背景を持つ社会人が参入しやすくなる制度を検討している。同日に取りまとめた論点整理案では①教職課程②採用・研修③社会人等が参入しやすい制度―の3点を柱とする方向性を明記。教職課程で必要な単位数の縮減とカリキュラムの柔軟化、教員の一時的な不在をカバーする「日本版サプライティーチャー」制度導入などを盛り込んだ。

 これら制度の詳細を具体的に議論するため、教職課程・免許・大学院課程、大学院新課程の二つのWGを設置。教職免許に関しては専修・1種・2種免許状の在り方と必要単位数、デジタル学習基盤を前提にした養成段階で身に付けるべき資質・能力などを議論する。

 他校種と連携が多い幼稚園教諭、必要単位数が他職種と異なる特別支援学校教諭、養護教諭・栄養教諭に関してはそれぞれで作業部会を設け、免許状の在り方を見直す。小・中・高で特別支援教育を担う教師の専門性向上や、教職課程以外の多様な学部出身者や社会人が取得できる免許・学校種も議題となる。

 社会人の入職を促進する場合、都市部・郡部で確保できる人材の量に差が出ることが想定されている。このため文部科学省は8年度から教師人材をシェアする仕組みとなる「トラベルティーチャー」のモデル事業を構想しており、地方移住策と組み合わせて臨時講師のなり手になる人材を発掘する考え。

(解説 2025-09-24付)

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