【解説】国語で育成する力　審議へ

（解説 2025-10-01付）

　中教審の教育課程部会国語ワーキンググループは９月２９日に初会合を開き、次期学習指導要領の国語科の在り方を審議した。コミュニケーション能力の育成やデジタル化の負の側面である誤情報への対応能力などが論点に。次回会議から個別の審議を開始し、８年秋ごろに方向性を固める。

　現行の学習指導要領では、言葉による見方・考え方を働かせ、言語能力を育む授業が多くの学校で展開されている。一方、国内外の調査から「根拠を示して自分の考えを説明する力」の不足が課題に。短文中心のＳＮＳの普及による思考を整理・深化する力の不足、教育格差による言語経験の多様化も指摘されている。

　ＷＧでは①人生を豊かにする語彙の獲得・読書習慣の形成②主体的な社会参画のためのコミュニケーション能力の育成③社会生活の質を高める文章理解・活用能力の育成④誤情報に対応できる能力の育成⑤わが国の言語文化を継承・発展させる態度の育成―を検討の方向性として示した。

　委員は、生成ＡＩで容易になった文章の要約や読書感想文の指導を課題に挙げ「ＡＩ時代は問いを作る力、言語化する力が必要。情報リテラシーによって内容を吟味し、自己責任で発信する言語力が重要」と述べた。生成ＡＩの効果的な活用方法を把握する必要性も指摘し「“AIは遠ざけるべき”と短絡的に一蹴する時代では既にない。使い方次第で学びの拡張にもなり、学びの阻害にもなる」と意見した。

　教育活動全体で言葉の力を育むカリキュラム・マネジメントの重要性にも言及し「学びの土台になる言葉の力を確実に育むには、他教科や学校行事も重要。意図的・計画的に話し合い・発表・交流などの活動を位置付け、言葉の力を育む意識を全ての教師が持つことが必要だ」と意見した。

(解説 2025-10-01付)