【解説】働き方改革加速化を
(解説 2025-10-08付)

 日本の教員の勤務実態は改善傾向にあるものの、諸外国と比較して依然として多忙な実態があらためて明らかになった。教員の欠員で生じる追加的業務への負担やストレスも高まり、わが国における課題が浮き彫りになっている。

 仕事時間の内訳をみると、授業時間は小・中学校いずれも国際平均より短い一方、授業準備、事務業務、部活動や学校運営など教科指導以外の時間も多いことが特徴。ストレスの比率も高く、欠員に対応する臨時講師の確保をはじめ柔軟に対応できる体制の構築が喫緊の課題となっている。休暇を取得しづらい現状を指摘する声もあり、早急な対応が必要だ。

 文部科学省は9月下旬、学校の働き方改革に関する文科大臣の指針を改正。業務分担の考え方を示す「学校と教師の業務の3分類」を再整理し、保護者等による過剰な苦情への対応を「学校以外が担うべき業務」として位置付けた。教師が教師でなければできない業務に専念するためにも、学校の業務の分担の在り方を大きく見直す時期に差しかかっている。

 国は8~11年度を「緊急改革期間」に設定。教職員の時間外在校等時間を1ヵ月当たり平均30時間程度に縮減する目標を掲げ、中学校35人学級の実現をはじめとする教職員定数の改善、教員業務支援員、副校長・教頭マネジメント支援員、スクールカウンセラーや部活動指導員など外部人材の配置を拡充する。

 自治体においては「業務量管理・健康確保措置実施計画」の策定・公表が義務化。部活動改革の次期推進期間や次世代校務DX環境の整備に向けた検討が始まり、働き方改革が加速化する1年となる。実効性を担保する財源の確保をはじめ、教師を取り巻く環境整備のさらなる推進が求められている。

(解説 2025-10-08付)

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