教科の魅力示す指導要領に
(解説 2025-10-16付)

 学習指導要領の構造化は、より「深い学び」を実現するイメージを発展させ、教師が「つかみ取りやすくする」ための改善を図ることがねらい。これからの社会を切り拓く子どもの資質・能力をより明らかにすることで、次期学習指導要領が目指す「“好き”を育み“得意”を伸ばす」「当事者意識を持って、自分の意見を形成し、対話と合意ができる」姿の実現に資することが期待される。

教育課程の基準に「高次の資質・能力」の概念を取り入れる動きは諸外国でも見られ、韓国やシンガポールでは教科等横断的に重要な共通概念などを指す「big idea」を導入。各国で記述方法は様々だが、教育目標(人間像)に照らしたコンピテンシーベースの教育に向かう動きは共通している。

中教審特別部会ではこの「高次の資質・能力」を検討する視点として「各教科等の本質的意義などから演繹的に導かれる側面」「個別の学習内容をより深く習得するため帰納的に導かれる側面」を踏まえつつ、教科等の本質的意義や系統性、個別の資質・能力に照らした妥当性を勘案することが必要と指摘。その上で「最終的には、教師にとって分かりやすく、使いやすいことに加え、教科等の面白さや魅力が伝わる必要がある」としている。

学習院大学教授の秋田喜代美委員は、生成AIをはじめ急激な社会の変化の中、10年を通して各教科の本質を捉え、内容の精選・選択が行われることが極めて重要と指摘する。自立した学習者のため、メタ認知や学習意欲によって目的意識を持つ学習が必要になるとし「人間にしかできない思想・表現・感性を捉えるとともに、各教科で培ってきた伝統文化や知識を受け継ぎ、大切に見ていく視点が求められる」と強調する。

(解説 2025-10-16付)

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