【解説】遺族に寄り添う対応促す
(解説 2025-10-20付)

 文部科学省は「児童生徒の自殺が起きたときの背景調査の指針」改訂案をまとめた。基本調査の様式や遺族への説明資料を新たに作成し、遺族に寄り添った対応を促すため内容を充実させる。今後パブリックコメントを実施し、年内をめどに策定する。

 自殺の背景調査は、自殺の再発防止や事実に向き合いたい遺族等の希望に応えることを目的としている。事案発生後に学校が着手する「基本調査」と、外部専門家を加えて自殺に至る過程や心理を解明する「詳細調査」の2種類の調査がある。

 6年の小中高生の自殺者数は529人と過去最多となる一方、詳細調査の希望の有無を遺族に説明した件数は全体の約6割、詳細調査に移行した件数は約1割にとどまっているなど課題が指摘されている。このため、平成26年度の前回改訂から10年ぶりに背景調査の指針を改訂する。

 指針では、調査の目的、平時からの備え、詳細調査への移行の判断、いじめが背景に疑われる場合の措置などを示す。

 改訂のポイントは、特に遺族への配慮を強化した点にある。詳細調査の意向確認書を新たに盛り込み、説明の確実な実施を促す。遺族と事前に確認した調査事項に調査漏れがあった場合、遺族の意向を確認した上で追加調査を行うことが望ましい旨を追記する。

 基本調査・詳細調査の調査事項をあらためて整理し、基本調査の様式やフローチャートも掲載。また、詳細調査報告書の標準的な項目も盛り込む。

 さらに、体罰や不適切な指導が背景に疑われる場合、詳細調査において「第三者委員会方式」での実施を検討する必要性を新たに記載した。遺族の希望があれば、アンケート調査を基本調査と並行して実施できることも明記する。

(解説 2025-10-20付)

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