【解説】不登校教育課程に特例
(解説 2025-10-15付)

 不登校児童生徒を対象とした教育課程編成の特例制度の創設に向けた検討が10月から中教審の教育課程部会のワーキンググループで始まった。校内外の教育支援センターの学びを取り入れ、学校が必要に応じて特別な教育課程を編成・実施できる仕組みを創設する。

 公立中学校の校内教育支援センターの設置率は46・1%、教育委員会が設置する教育支援センターは全国で1743ヵ所に上り、拡大傾向にある。子どもたちの居場所の確保や遠隔授業の配信など多様な学びの役割を果たしている。

一方、計画的・組織的学びが十分ではなく、単一の教育課程による限界が生じている。在籍校での学習内容との連続性が課題になっており、下学年の内容を学んでいても原籍級の教育課程に基づく評価を行わざるを得ないため、指導と評価の実態を踏まえた柔軟な評価が困難になっている。 

 このため次期学習指導要領では、校内外の教育支援センターと連携して個別の指導計画を作成し、原籍級に基づかない学習評価を可能にする。対象は「年間30日以上の欠席」を目安に、児童生徒の心身や学習状況の変化を踏まえて柔軟に判断。教育支援センターで指導を受ける児童生徒の状態を学校が把握し、効果的と判断した場合に実施する。保護者の求めで実施義務が生じるものではないものにする方向で検討している。

 研究開発学校として個別のカリキュラムを実施し、通常より少ない授業時数で学び直しや発展的な学習に取り組んでいる東京都新宿区や広島県の中学校の事例をモデルケースに、学校・教育委員会に負担が生じない制度を目指す。

 WGは今後、特別の教育課程の要件・内容や授業時数、高校入試での学習評価の取り扱いなど制度設計の具体化を進め「運用の手引」をまとめる。

(解説 2025-10-15付)

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