【解説】不祥事は他人事ではない

（解説 2025-09-22付）

　６月下旬、道外の教員グループによる盗撮事件が明るみになった。道教委は７月、札幌市を除く市町村立学校長、道立学校長らに対し服務規律保持の徹底を強く要請。併せて行われた学校施設内の緊急点検では、教員による隠しカメラ等の設置はなかったことが確認された。

　それだけに、道内中学校の現職教員逮捕を伝える１８日の報道は、全ての道民に大きな衝撃を与えた。道教委の中島俊明教育長が１９日の緊急不祥事防止対策会議で「一切の性暴力から児童生徒を守る決意を持って、取組の徹底を」と語気を強めたのも当然だろう。

　多くの教職員は、予測困難な未来を生き抜く力を児童生徒に身に付けさせるべく、授業改善や生徒指導などに真摯に向き合っている。一方で教育現場は深刻な教員のなり手不足に陥っている。学校の働き方改革や給特法改正などによる学校現場の環境が改善され、担い手確保に向けて関係者が一丸となっている中、不祥事が一件でも発生することは「教師という職業の魅力を理解してもらう」ための努力が水泡に帰す。

　国は現在、子どもに関わる仕事に就く者の性犯罪歴の確認を義務付ける「日本版DBS」の運用開始に向けて検討を進めている。一方、現職教員による性暴力・性被害は依然、後を絶たない。こうした現状から、法制度の問題ではなく一人ひとりのモラル・自覚に起因するものであることをあらためて認識させられる。

　教育公務員の不祥事は、社会の信頼を損ねる。ましてや、教員による児童生徒への性暴力は、児童生徒本人だけではなく、学校にわが子を預ける保護者、地域住民からの信頼を根底から覆すものだ。一人の不祥事が「決して他人事ではない」ことをいま一度、全ての関係者が強く認識しなければならない。

(解説 2025-09-22付)