【解説】AI時代の英語教育を議論(解説 2025-09-26付)
中教審の教育課程部会外国語ワーキンググループは24日に初会合を開き、次期学習指導要領における外国語教育の在り方の審議を開始した。生成AIの進化で高精度の翻訳が可能になる中、外国語を学ぶ本質的意義の再定義が焦点となる。
現行の学習指導要領から小学校の3・4年生で「外国語活動」、5・6年生で「外国語」が導入。CEFR A1(英検準2級相当)以上の中学生、CEFR A2以上(英検2級相当)の高校生の割合は5割以上となり、英語力は着実に向上している。一方、指導すべき語彙数が増加して教科書の難化や授業づくりの難しさも課題になっている。
生成AIの利用は英会話練習、英文添削、家庭学習に役立ち、練習量の増加、モチベーションの向上に寄与。国の実証事業に取り組むある中学校では、半年間でCEFR A1相当の中学生の割合が39・8%から62・7%に上昇するなどの効果が見られた。
会議では「多文化共生社会の創り手の育成」「日本・地域の魅力発信」「5領域の活動を通した指導」といった観点から検討を進める方向性を確認。AIによる高度翻訳などの機能を踏まえ出力の正確性を判断する力、文化的背景やニュアンスを理解する力、自らの考え・意見を形成する力など引き続き求められる能力も示した。
委員は、異文化理解や多様性の包摂・理解に寄与する外国語学習の意義を強調し「多様な子どもたちがいる場所だからこそ、対話を通じて違いを認め合い、学び合うツールになる。様々な文化や生活の違いに出合い、新しい見方・考え方を育むことが重要だ」と意見した。教師の役割も議論し「コーディネーター」「コーチ」として学びをデザインする高度専門職としての再定義も提起された。
(解説 2025-09-26付)
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