就学支援金等のアンケート結果 申請書等確認が負担に 道公立学校事務長会まとめ
(関係団体 2015-07-28付)

 道公立学校事務長会(永井進会長)は、「収入事務(就学支援金等)アンケート集約および分析報告」をまとめた。「申請書等の内容確認、保護者連絡」の業務が大きな事務負担となっていること、就学支援金と奨学給付金を混同している保護者がいることなどの問題点を指摘。学校独自で分かりやすい説明を付けている工夫点なども明らかにした。

 高校等就学支援金制度は二十六年四月以降の入学者が対象。国公私立問わず、高校等に通う一定の収入額未満(市町村民税所得割額三十万四千二百円未満)の世帯の生徒に対して、授業料に充てるため、国が支給している。受給に当たっては、毎年度、申請書とともに、市町村民税所得割額が確認できるもの(市町村民税税額決定通知、納税通知書、課税証明書等)を学校を通じて提出する。

 就学支援金は、簡便・確実に授業料負担を軽減できるように、学校が生徒本人に代わって受け取り、授業料またはその一部と相殺する仕組み。「道公立高校生等奨学給付金」と言葉が似ていて分かりにくいという保護者の声もあった。

 道公立学校事務長会は、各学校の負担業務の現状と業務量軽減の工夫などについて調査するアンケートを実施。二十六年八~九月に道立・市町村立高校二百三十校を対象に行い、回答率は六六%だった。

 調査結果によると、二十六年度の高校入学者数一万三千七百八十二人のうち、八四%に当たる一万一千五百六十六人が就学支援金を申請。うち、「当初申請しない旨の申出書」を提出したが、電話確認等によって五百二十一人が申請書を提出した。同会では、「生徒・保護者の制度への理解が不十分なため、周知の徹底と、より分かりやすい説明を行わなければならない」と分析している。

 支援金にかかる業務の所要時間数と負担が大きい業務の結果では、所要時間を最も要したのは「申請書等の内容確認、保護者連絡」(一校当たりの平均所要時間数二十・六時間)であり、「申請書等の回収」(同十六・一時間)「収入状況届等の確認、保護者への連絡」(同十五・一時間)と続く。勤務時間内・勤務時間外の両方で処理した大規模学校は九四%、小規模学校は五二%だった。

 負担業務では、全体の八割をこえる学校が「申請書等の内容確認、保護者連絡」(八一%)を挙げており、特に大規模校では九四%に上る。

 また、「添付書類もれや別な書類を添付してくるなど、保護者への確認作業、連絡をとるのに苦労する」という意見のほか、改善方策として、「来年度は学校独自の簡易な説明を付けて分かりやすい形にすべきと感じた」「根気よく時間をかけて連絡をとり、時間をかけて理解するまで説明する」「担当者だけではなく、複数の人の協力が必要」などの記述があった。

 学校独自文書を作成した学校は五一%であり、その内容は奨学給付金と就学支援金の違いを説明、記入例やQ&Aの作成などだった。

 同会では、「四月に就学支援金の申請・六月に就学支援金の収入状況届の提出・七月に奨学給付金の申請」の制度は保護者が理解しにくいこと、奨学金と混同して「希望しない」と判断してしまうこと、共働きやひとり親家庭の保護者と連絡がとれないこと、学校体制の人員不足を問題点として指摘。

 「就学支援金を申請する該当学年が増えていく中、業務負担も増えていく。今の体制でできるのか不安」という事務長もおり、同会では、改善策として申請方法の変更、申請書内容の簡素化、証明書の統一、名称の変更、人員増、研修会の実施、中学校への周知などを提案している。

(関係団体 2015-07-28付)

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