学校として明確な目標を　文科省・清原氏が講演

（市町村 2015-08-05付）

文科省・清原氏講演

　札幌市教委の学校経営全体研修会（三日、市内ちえりあ）では、文部科学省初等中等教育局の清原洋一主任視学官が、学校経営における今日的教育課題について講演した。

　清原氏は学校経営における今日的教育課題について、①社会変化と子どもたちの現状②教育にかかわる様々な動き③二十一世紀社会に求められる「資質・能力」を踏まえた教育課程の編成と実施―の三点について説明した。

　社会変化と子どもたちの現状については、全国学力・学習状況調査の結果から、「学力は改善傾向にある一方で、判断の根拠や理由を示しながら自分の考えを述べることに課題がある」と指摘。数学・理科の学習に対する生徒の意識では、「国際平均と比べ、日本の中学生は学習の楽しさや実社会とのかかわりについて、肯定的な回答をする割合が低い」と話し、「子どもたちの学習に対する意識をいかに育てていくかが鍵となる」と説明した。

　子どもの自己肯定感や社会参画に関する意識調査にもふれ、「日本の高校生は“自分は価値のある人間だ”と自尊心をもっている割合が四割程度で、“自分はだめな人間”と考える割合が八割をこえる」と指摘。諸外国と比べ、顕著な差があることから、「子どもたちにいかに自信をもたせるかが、教育を展開していく中で重要な視点。いかに学習意欲をもたせ、将来どう社会に参画しようかなど、いかに自信を付けさせるかが大きな課題と認識している」と話した。

　教育にかかわる様々な動きでは、児童生徒の個別のニーズが多様化し、教員に求められる役割が増えている中、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど専門性をもつスタッフを配置し、学校組織として対応するチーム学校について、「核となる校長の役割が重要となる」と強調。文科省が二十六年度から設置する「チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会」の中間まとめにふれ、「チーム学校を実現するため、専門性に基づくチーム体制の構築や学校のマネジメント機能の強化、教員一人ひとりの力が発揮できる環境の整備が必要」と説明した。

　二十一世紀社会に求められる「資質・能力」を踏まえた教育課程の編成と実施にかかわっては、「児童生徒の状況を把握した上で地域や学校の特色を取り入れ、学校としての明確な目標を設定し、子どもたちをどのように指導し学ばせるか、評価方法について学校としてどのように取り組んでいくのかのデザインが必要」と指摘。「子どもたちの気づきや疑問など、考えを大事にしながら学習を進め、学習の見通しや振り返りの場面を重視できるよう、管理職としてリーダーシップを発揮し、それぞれの教師が意欲的に取り組むことができるような状況をつくってほしい」と呼びかけた。

(市町村 2015-08-05付)