道小・道中・道公教と道教委の文教施策懇談会 柴田教育長のあいさつ概要
(道・道教委 2015-08-12付)

文教施策、柴田教育長
道教委・道小・道中が文教懇―柴田教育長

 七日に道庁別館で開かれた道小学校長会、道中学校長会、道公立学校教頭会と道教委による二十七年度文教施策懇談会における柴田達夫教育長=写真=のあいさつ概要はつぎのとおり。

 六月一日付で教育長に就任した。皆さんの支援・協力をもらいながら本道の子どもたちの可能性をしっかり開花させ、ふるさと北海道に誇りをもち、その未来を支えていける力を培うことができるよう最大限の努力をしていく。

 最初に本道教育推進上の課題などについて数点話したい。

 はじめに学力向上について。昨年度の全国調査では、本道の平均正答率が、全国平均に近づくなど、各学校の取組が一定の成果として現れてきたものと受け止めている。

 本年度の調査結果は八月二十五日に公表されるが、各学校では、道教委が配布する分析ツール等を活用して直ちに結果を分析し、成果と課題を検証するとともに、保護者、地域住民と一体となった学力向上の取組をこれまで以上に推進していただくようお願いする。

 なお、道教委による結果公表については、昨年度と同様、同意が得られた市町村の結果を報告書に掲載することとしているので、皆さんの理解をお願いする。

 つぎに体力向上について。本道の子どもたちの体力については、体力合計点が小学校男女、中学校女子で全国との差が縮まるなど各市町村教委や学校の取組が改善の兆しとして現れてきたものの、依然として小・中学校の男女いずれも全国平均を下回っている状況にある。

 各学校においては、一学期に実施した全国体力・運動能力、運動習慣等調査や各学年で実施している新体力テストの結果を活用し、これまでの取組を評価し、新たな目標を設定するなど、検証改善サイクルに生かすとともに、二学期以降の児童生徒の体力向上の改善・充実に積極的に取り組むようお願いする。

 いじめの問題について。過日、岩手県において発生した背景にいじめがあったと考えられる中学生の自殺事案について、連日のように報道されている。

 報告書の内容など詳しいことについては把握できていないが、本事案の重大性を踏まえ、あらためて本道のすべての教育関係者が連携・協力して、このようなことが決して起きないように努める必要があると考えている。

 各学校においては、「北海道いじめ防止基本方針」を確認するとともに、道教委で配布した「いじめ未然防止モデルプログラム」などを活用し、あらためて、それぞれの学校におけるいじめ防止の具体的な取組の一層の充実をお願いする。

 学校安全の充実について。本年度に入り、空知管内において、登校途中の児童の列に、軽乗用車が突っ込み、四人の児童が負傷する事故が起きたほか、上川管内では町の巡回バス下車後の児童が乗用車にはねられ死亡するという痛ましい事故が起こるなど交通安全をはじめとした、児童生徒を事故から守る取組の充実が求められている。

 各学校におかれては、特に通学路の安全点検などについては、教育委員会をはじめ、警察や道路管理者等の関係機関と連携し、継続的な通学路の交通安全対策に取り組むようお願いしたい。

 食育の推進について。子どもたちに食に関する正しい知識や望ましい食習慣を身に付けさせることはもとより、食べ物の大切さを理解し、食を通して郷土への理解を深めることは重要。

 このため、各学校においては、校長のリーダーシップのもと、栄養教諭を中心に全教職員が一体となり、学校教育活動全体を通じて食に関する指導の一層の充実に努めていただくようお願いする。

 また、道内外の学校では、誤嚥による窒息事故や食物アレルギーにかかわる事故など、学校給食に起因する命にかかわる事故が発生している。

 こうした事故を未然に防止するため、各学校におかれては、緊急時に対応するためのマニュアル等の策定や、教職員全体を対象とした研修を実施するなど、危機管理体制の整備に努めるようお願いする。

 つぎに特別支援教育について。道教委では昨年度「発達障がい支援モデル事業」に取り組み、その成果として通常の学級に在籍する発達障がいのある児童生徒などへの指導や支援に関する「校内研修プログラム」を作成したので、各学校において校内研修等で積極的に活用してほしい。

 また、「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒等に関する調査」は、継続的に実態を把握し、今後の施策に反映していくため、本年度も実施することとしているので協力をお願いしたい。

 コミュニティ・スクールについて。地域住民が学校運営に参画し、地域とともにある学校づくりを目指すコミュニティ・スクールについては、教育再生実行会議や中央教育審議会などにおいて、すべての公立小・中学校のコミュニティ・スクールの指定への動きが活発化しているところ。

 このことを踏まえるとともに、地域を担う子どもたちを学校を含めた地域全体で責任をもって育み、地域の活性化を図る地方創生の観点からも、本道においてもコミュニティ・スクールの指定の拡大に向けて取り組んでいくので理解と協力をお願いしたい。

 教職員の人事について、本道の公立学校の管理職に占める女性の割合は、二十六年度当初で七・七%と、全国平均の半分程度の状況である。

 今後、女性教員の活躍推進に向けた取組を検討するための会議を全道および管内ごとに設置し、皆さんの理解と協力をいただきながら、女性登用を拡大していきたいと考えている。

 最後に教職員の服務規律について、本年度は管理職によるひき逃げ事故をはじめとして、痴漢行為におよんだ上での窃盗、常習的な無免許運転など教職員のモラルが問われる極めて悪質な事故が続いており、すでに免職事案が四件となっている。

 今後ともより一層危機感をもって、教職員の不祥事防止と再発防止に向けた効果的な取組を学校全体で進め、教職員の服務規律の保持に厳正を期すようお願いする。

 昨年度発生した体罰事故三十三件のうち、十三件が体罰調査により新たに把握されている。不祥事防止に向けた取組とあわせて、事故の速やかな把握と報告に向けた校内体制の点検・整備に努められるようお願いしたい。

 以上、当面する教育課題の中から数点、取り上げた。

 義務教育の目的を達成していくためには、校長が明確なビジョンをもち、教頭とともにリーダーシップやマネジメント力を発揮して、教職員との共通理解のもと、家庭や地域と連携・協力し、創意工夫を生かして地域とともにある学校づくりを進めることが重要。

 道教委としても本道教育の充実・改善に全力で取り組んでいくので、皆さんにも一層の理解と協力をお願いする。

(道・道教委 2015-08-12付)

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