道教委が集団カウンセリング研開催 中1ギャップ等解消へ研鑚 ピア・サポートプログラム体験
(道・道教委 2015-08-11付)

集団カウンセリング研修会
道教委・集団カウンセリング研修会

 道教委は六日、札幌市内道第二水産ビルで二十七年度第一回「中一ギャップ問題未然防止事業」および「高校生ステップアップ・プログラム」集団カウンセリング研修会を開催した=写真=。両事業の拠点校や指定校の教員など約五十人が参加した。函館短期大学客員教授で、日本ピア・サポート学会顧問、日本学校教育相談学会名誉会長の中野武房氏を講師に迎え、ピア・サポートの学習プログラムを体験。生徒のコミュニケーション能力を高める方法や教育課程の工夫・改善について理解を深めた。

 中一ギャップ問題未然防止事業拠点校・連携校および高校生ステップアップ・プログラム指定校において、児童生徒の仲間づくりの支援やコミュニケーションスキルの向上を図る集団カウンセリングを実施する教員の技能向上を目指す研修会。

 冒頭、学校教育局参事(生徒指導・学校安全)の佐藤裕之主幹があいさつ。道内中学一年生の不登校生徒数は小学六年生の約三倍であり、高校では不登校生徒や中途退学者数の割合の多くを一年生が占めるなど、学校間の接続にかかわる課題を指摘した。

 その上で、「各学校では集団カウンセリングの効果的な実施などによる、仲間づくりの支援やコミュニケーションスキルの向上を図る教育活動の一層の充実に努めることが重要」と述べ、中一ギャップや高一クライシスの解消に向けた両事業の組織的・計画的な取組の成果を広く全道に発信するよう期待を寄せた。

 このあと、「予防的・開発的教育相談の手法について~ピア・サポートを中心に」をテーマに、中野氏が講義・演習を行った。

 全国のいじめや不登校の状況を示し、不登校のきっかけとして友人や教師との人間関係があることを指摘。中学校のスクールカウンセラーとして取り組んできたことを報告した。

 「人生の質はコミュニケーションの質で決まる」とし、具体的なコミュニケーション能力として、聴く力・説明する力・質問する力・チームでの協調性の大切さを指摘した。

 開発的・予防的教育相談の必要性にもふれ、子どもたち同士が支え合う人間関係を育む学習プログラムであるピア・サポートを紹介。ピア・サポートを「人間として望ましい生き方指導」とし、①自己理解・他者理解②コミュニケーション能力の育成③望ましい人間関係の育成④問題解決能力の育成―の視点から実践を示した。

 演習では、参加者がグループになってピア・サポートを体験。生徒のコミュニケーション能力を高める方法について理解を深め、ジャンケンして指の数の合計値から決められたテーマについて話す活動では、「好きなスポーツ」「宝くじで百万円当たったらどうするか」「ペットを飼うなら何にするか」などについて話し合っていた。

 演習後には、人間関係づくりの能力を育てる教育課程の工夫・改善について共通理解を図った。

(道・道教委 2015-08-11付)

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