特センが授業力向上研修講座開催 学び方が選べる授業を 特総研・涌井主任研究員が講義
(道・道教委 2015-08-25付)

特セン授業力向上研修講座
道立特別支援教育センター授業力向上研修講座

 道立特別支援教育センターは八月上旬の二日間、同センターで「特別支援教育授業力向上研修講座」を開催した。特別支援学級や特別支援学校の教員、通級指導教室担当教員四十五人が参加。初日、国立特別支援教育総合研究所教育情報部の涌井恵主任研究員が「幼児児童生徒の主体性を育む授業づくり」をテーマに基調講義=写真=し、具体的な指導のポイントについて解説。「マルチ知能」の八つの力と、「やる・き・ちゅ」(やる気・記憶・注意)の三つの力、「8+3の力」の視点で学び方を分類し、授業内容を工夫することを提案した。

子どもたちが生きる力を身に付けるために必要な主体性を育む授業について理解を深めるとともに、受講者間で日常の実践についての交流、協議を行い、授業の評価・改善に向けた取組についてまとめ、今後の実践に生かしていくことを目的に開催。全道各地から特別支援学級や特別支援学校の教員、通級指導教室担当教員四十五人が参加した。

 初日の開講式で、あいさつ立った木村宣孝所長は研修講座の目的などにふれながら、基調講義を通して、「幼児児童生徒の主体的な活動について理解を深めるヒントをみつけていただきたい」との考えを示すとともに、「日常の実践を基にした事例や改善の方策についての協議を行うなど、自身の指導の工夫・改善に取り組んでいただきたい」と呼びかけた。

 続いて、上村喜明教育課長が講義「特別支援教育に関する最新の動向~授業に関する内容を中心に」、津川周一肢体不自由・病弱教育室長が講義・演習「ICTを活用した授業と学習支援」を実施した。

 午後からは、特総研教育情報部の涌井主任研究員が「幼児児童生徒の主体性を育む授業づくり~分かる、できるを育む授業を目指して」をテーマに基調講義を行い、具体的な指導のポイントついて、説明・解説した。

 涌井主任研究員は「子どもの可能性は無限大」として、授業の中に、①自分で学び方を工夫したり、必要な支援を求めたりできる“ふろしき忍者”(学びの達人)の育成②学び方は一人ひとり違っている!ことを前提に授業③子ども同士学び合う力を引き出し、育て、協働する力を伸ばす―の三点を組み入れるよう求めた。

 また、協同学習と「学び方を学ぶ」学習を組み合わせた実践について説明。すべての子どもが「分かる」「できる」ことを目指した授業であり、一人ひとりの学び方の違いに応じて、いろいろな「学び方が選べる」、ユニバーサルデザインな授業を提唱。

 「学び方を学ぶ」学習では、マルチ知能として、「ことば(言語的知能)」「すうじ(論理・数学的知能)」などの八つの力と、学ぶ(勉強する)ときに必要な「やる・き・ちゅ」の三つの力、「8+3の力」の視点で、その子にあった学び方を支援し、授業内容を工夫することを提案した。

 このあと、事前提出資料に基づき協議を行い、自らの実践を振り返った。

 二日目は、日常の実践をもとにした事例や改善の方策について協議。

 参加者からは、「マルチ知能を使った学習活動は、いろいろあり大変参考になり、今後授業を構築していく上でのヒントになった」「子ども自身に“考える力”“選ぶ力”を付けるという視点と評価の観点としての押さえが心に残った」「子ども自身が学び方を知ることで、主体的な学習を引き出すことにつながるということがとても参考になった」「現在行っている授業内容について“8+3の力”に当てはめ、子どもたちにとってどんな力となっているかを今一度考えてみたいと思った。また、自分で“選ぶ力”“考える力”の必要性についても考えることができて良かった」などの感想が寄せられた。

(道・道教委 2015-08-25付)

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