時間外縮減に向けた重点取組―道教委 9月に悉皆調査を実施 効果・課題を検証し施策検討(道・道教委 2015-08-27付)
道教委は本年度、「二十七年度時間外勤務等の縮減に向けた重点取組」に関する悉皆調査を新たに実施する。すべての道立学校および市町村立学校の取組状況を九月に調査し、効果や課題を検証・分析。次年度へ向けた具体的施策を検討する。二十四日に道庁別館で開いた第一回時間外勤務等縮減推進会議=写真=において、これまでの取組を報告し、「部活動休止日の設定などの取組の充実」など、四つを柱とする本年度の重点取組を確認。『時間外勤務等縮減のための実践事例集』も年度末までに作成することとした。=関連記事「解説」欄=
道教委は二十一年に策定した「時間外勤務縮減に向けた取組方策」について、その後の取組状況や効果などを検証するため、有識者や学校、市町村教委、PTAの関係者合わせて十三人の委員で構成する時間外勤務等縮減推進会議を設置。毎年度掲げる重点取組や具体的な施策について協議してきた。
本年度の「時間外勤務等の縮減に向けた重点取組」は、「部活動休止日の設定などの取組の充実」などの四本柱で、それぞれ学校および教育委員会における取組を示している。
重点取組については、部活動休止日の設定や定時退勤日、時間外勤務縮減強調週間の定期的な実施などの取組状況を把握し、効果や課題などを検証・分析する必要性があるとし、道立学校および市町村立学校に対する悉皆調査を新たに実施することに。調査結果を時間外勤務等縮減推進会議に報告し、次年度に向けた具体の施策反映の検討材料とする。
九月上旬に各教育局から各学校・市町村教委へ調査票を配布。十~十一月に教職員課で取りまとめる。
二十四日の第一回時間外勤務等縮減推進会議には十一人が出席し、冒頭、山本広海教育部長があいさつ。前年度は、「変形労働時間制の対象業務拡大」「管理職員による業務管理の在り方」にかかる方向性について検討したことを振り返り、「時間外勤務等の縮減を一層推進していくため、きたんのない意見や提言をしてほしい。実効性ある政策につなげたい」と述べた。
次いで、事務局が二十六年度および二十七年度の取組状況について説明。ことし四月から、勤務時間を割り振りする変形労働時間制の対象業務に「登校時の通学指導業務・校区内巡視業務・現場実習の引率業務」を加えたこと、管理職員の評価項目に「職員の時間外勤務状況を的確に把握し、業務の平準化や効率化を図った」を入れたこと、「部活動指導の見直しにかかる申し合わせ」の通知を行ったことを報告した。
また、校務支援システムのモデル校に小・中学校二十八校を指定し、導入の成果や課題を把握するアンケートを実施すること、部活動の適切な在り方に関する講演会を全道三会場で行うことなど、時間外勤務縮減に向けた取組を提示。
文部科学省が七月に示した「学校現場における業務改善のためのガイドライン~子どもと向き合う時間の確保を目指して」についても共通理解を図った。
このあと、「二十七年度時間外勤務等の縮減に向けた重点取組」について協議。重点取組に対する悉皆調査を行うほか、各管内の市町村教委や学校の取組に関する『時間外勤務等縮減のための実践事例集』も作成し、年度末までに発行することを確認した。
委員からは、特別支援教育の支援員やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、運動部活動を単独で指導できる特別外部指導者、ICT支援員、学校司書の役割や必要性に関する意見が出され、「悩みを抱える生徒の相談に時間をかけて聞いてくれるスクールカウンセラーはありがたい」「チーム学校として新たな人材も入れた運営が大切。学校や保護者の意識改革も必要」などと話していた。
「二十七年度時間外勤務等の縮減に向けた重点取組」はつぎのとおり。
▼重点項目
①部活動休止日の設定などの取組の充実
②週休日の振替や休憩時間にかかる制度の周知と有効活用
③管理職員による業務管理の充実
④「定時退勤日」や「時間外勤務等縮減強調週間」の定期的な実施
▼学校においては
▽①について、「部活動指導の見直しにかかる申し合わせ」の背景や観点、学校の取組等を確認するとともに、部活動休止日の設定や活動時間の工夫などの取組が、より実効あるものとなるよう工夫・改善に努めること
▽②について、「修学旅行の引率業務等に従事する道立学校職員の勤務時間の割り振り等に関す要領」や「北海道学校職員の週休日の振替等にかかる振替期間の特例」により改正された制度を周知するとともに有効活用を図ること
▽②について、休憩時間確保の観点から、休憩の付与方法や休憩時間の長さにかかわり、学校の実情に応じた対応を可能とした制度改正の趣旨を踏まえ、適切な取扱に努めること
▽③について、教育職員の健康への配慮や業務の平準化、効率化などの取組を進める上では、業務従事時間や業務内容の把握が重要であり、管理職員は勤務状況や校務の進捗状況を把握し、職員の健康管理や、校務分掌の見直しなど業務処理体制の改善に努めること
▽④について、月二回以上の「定時退勤日」(給与・手当支給日、消灯時間の設定など)の設定や年二回以上の「時間外勤務等縮減強調週間」の実施など、職員の時間外勤務等の縮減に対する積極的な意識啓発に努めること
▼教育委員会においては
▽①について、「部活動指導の見直しにかかる申し合わせ」の背景や観点を踏まえ、部活動休止日の設定等の学校の取組について、指導助言を行うとともに、保護者や地域住民の理解の促進を図る
▽②について、制度改正の趣旨を踏まえ、当該制度が有効活用されるよう、学校に対して指導助言を行う
▽③について、管理職員の業務管理の在り方について検討を進めるとともに、学校現場に応じた取組を促すなど、指導助言を行う
▽④について、「定時退勤日の設定」および「時間外勤務等縮減強調週間の実施」について市町村教委から学校に対し、積極的に指導する
▽時間外勤務縮減にかかる各学校の取組について、市町村教委として適切に把握するとともに、その進行管理や指導助言に努める
(道・道教委 2015-08-27付)
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