道高校長協会等文教要望への道教委回答①
(道・道教委 2015-08-28付)

 道高校長協会(富田敏明会長)、道高校教頭・副校長会(家近昭彦会長)、道公立学校事務長会(永井進会長)の『二十八年度北海道文教施策に関する要望書』に対する道教委の回答はつぎのとおり。

Ⅰ 道教委として、つぎの事項について十分配慮されるよう要望する。

1 「北海道教育推進計画」の具現化に向けては、社会情勢の変化に即応し、安全・安心な学校づくりはもとより、質の高い教育環境の整備を一層推進することを要望する。また、教育改革にかかわる国の動向を的確に把握し、北海道の高校教育の課題解決に努めるとともに、新しいタイプの高校の配置については成果と課題を明らかにしながら、中・長期的な観点から進めることを要望する。

【回答】

 道教委では、生徒の多様な興味・関心、進路希望等に対応し、個に応じた主体的な学習を通して、それぞれの個性を伸長させる教育を実現するため、多様な選択を可能とする教育環境の整備に努めており、こうした取組の一環として、総合学科校や全日制普通科単位制高校、普通科フィールド制高校、中高一貫教育校などの新しいタイプの高校の設置に努めている。

 また、公立高校配置計画地域別検討協議会などの機会を通じて、新しいタイプの高校の成果や課題などを、教育関係者や保護者の皆さんに示すとともに、道高校教育改革研究協議会での研究協議などを通じて、各学校の課題解決や、より一層の魅力づくりについて指導・助言を行っている。

 今後においても、生徒の多様な能力・適性、興味・関心、進路希望等に対応し、学校選択幅の拡大を図る観点から、地域の意見を伺いながら、新しいタイプの高校の設置を検討していく。

2 公立高校配置計画を進めるに当たっては、国の動向を踏まえ、「新たな高校教育に関する指針」を検討し、中・長期的展望に立ち、地域や学校の実情を把握するとともに、私立高校における特色ある教育の内容や厳しい実態を考慮しつつ、教育条件の一層の充実のための施策に積極的に取り組むことを要望する。また、再編・統合に当たっては、当該校の準備期間を確保するため、教員の定数や人事異動、予算措置等について十分配慮することを要望する。〈重点〉

【回答】

 公立高校配置計画については、「高校教育に関する指針」の考え方に基づき、中長期的な視点に立って三ヵ年の具体的な配置計画とその後の四年間の見通しを示しており、本年六月には二十八年度から三ヵ年の配置計画案を示した。

 計画の策定に当たっては、総合学科や全日制普通科単位制の導入など新しいタイプの高校づくりを進めるとともに、中卒者数の状況、生徒の進路動向、欠員の状況、学校・学科の設置状況、私立高校の配置状況などを総合的に勘案し、地域別検討協議会での意見等も参考に検討することとしている。また、再編整備に当たっては、準備期間を確保し、学校教育活動に支障のないよう努めていく。

3 学校職員評価制度と給与・勤勉手当制度・査定制度の在り方については、職員の士気高揚と組織の活性化を図るとともに、評価業務を円滑に行うため、事務の簡素化を含め煩雑化の解消等、総合的な視点から検討し、一層の改善を図ることを要望する。

【回答】

 学校職員評価制度は、「職員の資質能力の向上などを図り、その成果を児童生徒に還元すること」を目的としたものであり、昇給制度や勤勉手当制度は、「職員個々の勤務実績等に応じた給与を確保することにより、職員の士気向上を図るとともに、組織の活性化に資すること」を目的としており、目的や評価方法等も異なる面もあることから、現在、二本立ての評価となっている。

 二十六年五月に地方公務員法等の一部を改正する法律が公布され、地方公務員について、人事評価制度を導入し、能力および業績に基づく人事管理の徹底を図る等所要の措置を講ずることとされた。

 これらのことを踏まえ、「学校職員評価」と「昇給制度や勤勉手当制度」を一本化した制度への見直しについては、知事部局や他都府県の動向を注視しながら、法が施行される二十八年四月実施をめどに検討を進めており、今後、機会をとらえて情報提供していく。

 なお、現在実施している昇給制度および勤勉手当制度については、職員の士気向上、組織の活性化が図られるよう、改善すべき点があれば改善していく。

4 普通科のフィールド制をはじめ創意工夫を生かした特色ある教育課程を編成し、その円滑な実施を通して、個に応じた教育を一層推進するため、必要な予算措置や教員の配置、施設・設備の充実などについて学校裁量の拡大を図ることを要望する。

【回答】

 施設・設備の充実については、道財政は極めて厳しい状況にあるが、大規模改造、学科転換改修時等に学校との協議や関係課と連携を図りながら、教育課程の円滑な実施のための予算確保、整備に引き続き努めていく。

 学科や教科・科目の特性に応じた指導の充実を図るため、普通科における多様な教科・科目の開設校や職業系類型・コース開設校、外国語・数学・情報の教科における少人数指導実践校へ、国の加配によって教員の配置を行っている。

 また、各学校における教員の配置については、高校標準法に準拠して配置している。

 なお、多様な教育の展開を行うための一層の教職員定数措置の拡充について、引き続き、国に要望していく。

5 道産業教育審議会の二十六年五月答申「今後の産業教育の在り方について」を踏まえ、急速な技術革新等の社会の変化に対応する専門教育、職業教育の充実を図るため、時代に即応した学科転換や教員研修の充実、施設・設備の更新をより一層推進することを要望する。〈重点〉

【回答】

 施設・設備の更新については、道財政は極めて厳しい状況にあるが、学科転換改修、産業教育施設整備時等に学校との協議や関係課と連携を図りながら、専門教育、職業教育の充実のための予算確保、整備に引き続き努めていく。

 また、時代に即応した学科転換や教員研修の充実についても、予算確保、整備に努めていく。

6 多様な学習ニーズに応える定通教育の充実と活性化を図るため、道立の通信制協力校の規模の縮小等に伴う面接指導講師確保のために、面接指導講師の免許外申請の許可等、任用の改善策を講じることを要望する。また、道立の通信制協力校に対するスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、特別支援教育支援員派遣の一層の充実を図ることを要望する。

【回答】

 スクールカウンセラーの配置については、国の「スクールカウンセラー活用事業」(国庫補助事業)を活用し、七十四校の高校に月一回程度、年間を通して計画的に相談活動ができるよう配置しており、二十五年度からは、通年配置している高校以外の学校へも派遣できるよう取扱要領を定め、予算措置した。

 つぎに、スクールソーシャルワーカーの導入については、国の「スクールソーシャルワーカー活用事業」(国庫補助事業)を活用し、二十年度から市町村と委託契約によって配置している。さらに、二十六年度からは道教委でも二人のスクールソーシャルワーカーを任用したが、二十七年度は、五人に増員し、道立学校へ派遣できる体制を整えた。

 道教委では、スクールカウンセラー活用事業およびスクールソーシャルワーカー活用事業は、学校の教育相談体制の充実を図る上で重要な事業と考えており、引き続き、国に対して、制度の充実を要望していく。

 また、道立高校への特別支援教育支援員については、「高校における特別支援教育支援員配置事業」を実施し、発達障がいのある教育上特別な支援を必要とする生徒が在籍する道立高校のうち、当該校の対象生徒の人数や支援の内容、教員の配置数などを考慮し、きめ細かな個別の支援を行うことが難しい状況にある学校を指定し、配置している。

 今後とも、高校への特別支援教育支援員の配置の一層の充実を図るために必要な財源措置について、国に要望していく。

7 高校教育における部活動は、学校教育の一環として行う重要な活動であることに鑑み、高体連・高文連・高野連・定通体連への人的・財政的な支援について、特段の配慮を要望する。なお、部活動においては、生徒に直接かかわることから、万全な安全確保ができるよう、指導者の養成・確保・配置および施設・設備等について優先順位を明確にし、改修・改善・充実を図ることを要望する。〈重点〉

【回答】

 高体連および定通体連に対する財政的な支援については、引き続き予算の確保に努めていく。また、指導者の養成・確保などについては、外部指導者の派遣事業を実施しており、日常の部活動の安全確保にも努めている。

 高文連に対しては、全国高校総合文化祭生徒派遣費の補助を行ってきたが、二十三年度をもって廃止しており、今後も、道の厳しい財政状況から補助は困難であると考えている。

8 道立学校運営支援室および教職員事務センターの業務の集約について、具体的な達成状況を数値化するなど、業務量と事務職員の配置数が適切であるか検証し、学校事務の効率化を推進することを要望する。〈重点〉

【回答】

 道立学校の事務改善については、二十五年度をもって、工程表で示した業務の集約を完了し、また、教職員事務センターについても、二十五年度をもって、予定した業務の集約を完了した。

 今後とも、本庁関係課と連携し、一層、事務改善の実効が上がるよう、事務処理方法等の改善などに努めるとともに、集約した業務の状況や集約効果、課題などについて検証を行い、各道立学校や高校長協会をはじめ、関係教育団体からも意見を伺いながら、より効率的な学校運営に資するよう努めていく。

9 学校徴収金や団体会計については、これまでも公費に準じた取扱になっていることから、金銭事故防止および学校事務の効率化の観点からも、引き続き公費負担による口座振替を実施することを要望する。

【回答】

 依然として、道財政は極めて厳しい状況にあるが、引き続き、口座振替にかかる経費の確保について努めていく。

10 道立学校における週休日等の機械警備全面実施について、課題を把握し、特に、週休日等の学校個別の課題に対応するなど、安全管理を徹底することを要望する。〈重点〉

【回答】

 週休日等の有人警備については、通信教育協力校など、職員による対応が困難な特別な理由のある場合などに限り実施することとし、その予算の確保について努力していく。

11 特色ある学校づくりの一層の推進を図るため、出願変更、くくり募集、複数尺度、推薦入試、さらに、定時制課程の選抜試験や推薦入試の条件等の見直しについて再検討するなど、入学者選抜制度の改善を要望する。〈重点〉

【回答】

 入学者選抜については、これまで、各学校において、生徒の個性や能力などをより一層多面的にとらえるとともに、各学校の特色を生かした選抜ができるよう、改善を図ってきている。

 入学者選抜の改善については、庁内の公立高校入学者選抜改善研究会において、検討を進めており、引き続き、高校長協会をはじめ各方面からの意見を聞きながら検討していく。

12 校務支援システムについては、「新しいタイプの高校」等、各校の実情を的確に把握し、本来の目的の達成状況を検証した上で必要な改善を速やかに図り、教育活動が円滑に推進することを要望する。特に、リリースの時期・内容・個別課題に計画的に対応するために、学科毎の実態把握と意見集約をするなど要望する。さらに、入学者選抜にかかる活用については、業務上の混乱を避けるため慎重に進めることを要望する。〈重点〉

【回答】

 校務支援システムについては、教育政策課の職員による学校訪問、校務支援システムを導入しているすべての道立高校を対象としたアンケート調査を実施するなどして、各学校や学科毎の実態把握などに努めてきた。

 なお、本年度、校長会と連携を図り、校長会の代表一人と道立高校の教諭八人で構成される校務支援システム改善検討委員会を立ち上げ、校務支援システムの課題等を整理するとともに、課題解決に向けて他府県の事例を研究するなどして、今後の校務支援システムの在り方について、協議を行っている。

 また、入学者選抜機能については、業務の混乱を避けるために、引き続き、高校教育課や業者との連携を図っていく。

(道・道教委 2015-08-28付)

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