道研連が研究発表大会渡島大会開く　実践的指導力の向上へ　国研・大杉教育研究部長が記念講演

（関係団体 2015-09-11付）

道研連研究発表渡島大会

　【函館発】北海道教育研究所連盟（委員長・西崎毅道立教育研究所長）は三日から二日間、ロワジールホテル函館で第七十回道教育研究所連盟研究発表大会渡島大会兼第五十七回全国教育研究所連盟北海道地区研究発表大会を開催した。渡島教育研究所（工藤達也所長）が主管。全道各地の教育研究所の所員、研究員、教育関係者など約百人が参加。研究主題「実践的指導力の向上にかかる支援の在り方」のもと、研究発表、講演、研究協議などを通して所員としての資質の向上に努めた。

　連盟共同研究や各加盟機関でのセンター的機能を生かした教育研究、教員の指導力向上にかかる教員研修などの取組について、交流し、協議することで、所員や研究員、教職員の資質の向上を図り、本道教育の一層の充実に資することが目的。

初日の開会式であいさつに立った西崎委員長は、教員研修について、「すべての教員が、これからの時代に求められる資質や能力を十分に理解し、それらをしっかりと培うための指導理論と実践的な指導力を身に付けることができるよう、その内容や方法を一層改善・充実することが求められている」と指摘。「二日間の研究発表大会が、これからの時代における教育研究所・研修センターの在り方や教員の実践的指導力の向上のための方策について貴重な示唆を与え、具体的に結び付くことを期待する」と述べ、大会の成果に期待を寄せた。

　渡島教育局の辻俊行局長があいさつし、「子どもの学力を高めるためには、教員の指導力を高めることが大切で、道教委や各教育局、道研、教育研究所・研修センターが一層連携を図っていくことが重要」などと述べた。

全体発表では、二十七年度共同研究推進委員会の岩本宜行委員長が「第十五次共同研究」（二十六～二十八年度）について、①「授業改善」および授業改善を促す「校内研究」支援の在り方②地域の実情やニーズ、教員のライフステージに応じた「教員研修」支援の在り方―の二つにポイントをおいた研究内容を説明した。

　二年次目に当たる本年度は、「教員研修にかかる実態調査の分析結果を踏まえた実践的指導力の向上にかかる実践の収集」について、共同研究を進めていることを報告。昨年二～三月に実施した「教員研修にかかるアンケート」の分析結果、課題などについて考察した。

　このあと、国立教育政策研究所初等中等教育研究部長の大杉昭英氏＝写真＝が「新しい時代にふさわしい教育課程と教育研究所・研修センターの在り方」と題し記念講演を行った。

　中で、教育改革の動きにふれ、今後実施される高大接続改革ついて、「大学教育および高校以下の教育を一体的に改革するものであり、その際、小・中・高校の学習指導要領について、知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・多様性・協働性からなる真の“学力”を身に付けるための改訂を行うもの」と説明。コンピテンシーをキーワードとした、「何を教えるか」から「何を身に付けるか」への内容重視から能力重視への流れや、「どのように学ぶか」、課題解決に向けた主体的・協働的な学びであるアクティブ・ラーニングについて説明した。

　教育研究所・研修センターの在り方については、研修に関する改革の具体的な方向性として、「研修指導者の育成」「メンター方式の研修（チーム研修）の推進」「ミドルリーダーの育成」「研修リーダー（校内）の育成」を示した。

　二日目は、「授業改善」「校内研究の活性化」「教員研修の充実」の三部会を実施。研究所・研修センターの取組を中心とした研究発表をもとに、意見交換を行い、所員としての資質の向上を図るとともに、交流を深めた。

(関係団体 2015-09-11付)