道研が数学科教育研修講座・高校開催　授業に適切な目標設け　文科省・長尾視学官が講義

（道・道教委 2015-09-16付）

道研が数学科教育研修講座

　道立教育研究所は八月下旬の三日間、同所で数学科教育研修講座（高校コース）を開催した。高校の教諭五人が参加。初日、文部科学省初等中等教育局視学官の長尾篤志氏が「数学科教育の充実に向けて」をテーマに基調講義＝写真＝。指導の在り方について、「授業において適切な目標を設定することが重要」と強調。数学に関する生徒の自己肯定感を高めるため、生徒に「誤ったり、分からなかったりすることは当然のこと。一人ひとりの考えを生かすこと、分かる・できるという感情を実感させることが重要」などと述べた。

　同講座は、自ら課題を見いだし、解決するための構想を立て、考察・処理し、その過程を振り返って得られた結果の意義を考えたり、それを発展させたりするため、事象を数学的に考察し表現する能力を育成する指導力の向上を図ることを目的に開催した。高校教諭五人が参加した。

　初日、文科省の長尾視学官が「数学科教育の充実に向けて」をテーマに基調講義。数学的活動の充実に向けた指導の在り方について、「授業において適切な目標を設定することが重要」と強調。「目標があいまいだと生徒に分かりにくい授業になりやすい」と指摘し、「目標で“その授業で、どのような知識や技能を身に付けさせ、どのような能力を育てるのか”を明確にする」「目標に対する概ね満足できる状況（評価基準）を明確にする」ことを求めた。

　生徒を評価したとき、多くの生徒が「身に付いていない」と感じた場合には、「授業の進め方を改善することも必要」と述べた。

　また、「数学に対する生徒の自己肯定感を高める必要がある」と指摘。自己肯定感が低く数学に対して自信がもてず、学習意欲も高まらないため、粘り強く考えようとしないことによって、「数学に苦手意識をもつ生徒が出てくる」と説明。自己肯定感を高めるため、「誤ったり、分からなかったりすることは当然のこと。一人ひとりの考えを生かすこと、分かる・できるという感情を実感させることが重要」とした。

　さらに、日常的な授業で意識することとして、「生徒に疑問をもたせるため発問を工夫する」「授業の振り返りの時間を確保する」「別解を考え、問題の数値や問い方を変えて発展させる」ことなどを示した。

　また、「評価の観点」や「評価基準」作成の意義・留意点などを示し、評価の改善について解説した。

　二日目は、小樽桜陽高校の中村弘治教諭が「課題学習の工夫」、札幌英藍高校の山後裕紀教諭が「思考力・判断力・表現力を育む問題解決的な学習」をテーマに実践発表。

　三日目は、数学的活動を位置付けた授業づくりに向け、問題解決的な学習について講義や演習を実施。模擬授業の実施と分析、指導計画の改善に取り組んだ。最後に、研修成果を活用・普及するため、三日間の研修を振り返り、交流した。

(道・道教委 2015-09-16付)