文科省26年度問題行動等調査結果―道内分 不登校は小中で4259人 小学校の暴力行為は増加(道・道教委 2015-09-17付)
文部科学省は十六日、「二十六年度児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」結果を公表した。公立学校を対象に、①小・中・高校の暴力行為②小・中学校の不登校③高校の不登校④高校の中途退学―の状況について調査したもの。道教委が発表した本道集計分(速報値)では、道内公立小・中学校の不登校児童生徒数が四千二百五十九人と、前年度と比べて二百三十四人増加。道内公立高校の不登校生徒数は、前年度と比べて百二十五人減の八百五十六人。小学校の暴力行為は増加した。道教委では、児童生徒のコミュニケーション能力、自分や他人を大切にする心、望ましい人間関係をつくる力を重視していく考え。
早期対応へ関係機関の連携強化
▼暴力行為
道内公立小・中・高校における暴力行為の発生件数は二十三年度から減少傾向にあり、二十六年度は九百五十六件と、二十五年度に比べて百四十二件減少した。内訳は、小学校が二十件増の六十件、中学校が百四十三件減の六百六十八件、高校が十九件減の二百二十八件。
種別発生件数をみると、二十五年度同様、生徒間暴力が二百十五校で五百六十件と最も多く、このうち中学校が百八校で三百八十二件と七割弱を占めている。次いで、器物破損が七十五校で二百十二件、対教師暴力が五十八校で百五十五件、対人暴力が二十五校で二十九件と続く。
国立、私立を含めた発生件数は全国五万四千二百四十二件、本道は一千八十六件で、一千人当たりの発生件数は二・〇件と全国の四・〇件の半数だった。対教師・生徒間・対人暴力のうち、被害者が病院で治療を受けたのは百二十八件だった。
道教委では、小学校の暴力行為が増加したことについて、同じ学校で繰り返し、同じ児童が複数回行うケースが増えていること、感情のコントロールができずにささいなことで暴力行為に及んでしまう児童が増えていることを指摘。「家庭や地域の環境の変化、少子化によるコミュニケーションを養う機会の減少、外遊びなど体験活動の減少などが影響しているのでは」とみている。
▼小・中学校の不登校
道内公立小・中学校の不登校児童生徒数は二十五年度と比べて二百三十四人多い四千二百五十九人で、在籍比は〇・〇八ポイント増の一・一〇%。内訳は、小学校が四十二人増の八百十二人(在籍比〇・〇二ポイント増の〇・三二%)、中学校が百九十二人増の三千四百四十七人(在籍比〇・一八ポイント増の二・六〇%)。
学年別では、小学校一~六年生の順で、四十人、六十三人、百一人、百三十八人、百九十八人、二百七十二人。二十五年度の小学六年生の不登校児童数二百五十八人から、二十六年度の中学一年生では八百八十五人と三倍以上に増えた。中学二年生は一千二百三十八人、中学三年生は一千三百二十四人だった。
不登校となったきっかけ(複数回答)は、小学校では「不安など情緒的混乱」(三七・九%)、「無気力」(二五・〇%)、「親子関係をめぐる問題」(二二・九%)、「病気による欠席」(一四・八%)、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」(一二・一%)が多かった。中学校は、「不安など情緒的混乱」(三五・五%)、「無気力」(三〇・一%)、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」(一六・四%)、「学業の不振」(一一・九%)、「病気による欠席」(一一・五%)が上位を占めた。
指導の結果、「登校するまたはできるようになった児童生徒」の比率は、小学校三五・五%、中学校三〇・一%だった。
国立、私立を含めた小・中学校の不登校児童生徒数は、全国が十二万二千九百二人で、一千人当たりの不登校児童生徒数は十二・一人、本道は四千二百九十八人、十・九人。
道教委では、増加する傾向にある児童生徒の不登校について、「家庭の教育力の低下によって基本的生活習慣が身に付いていない、無気力で何となく登校しない子どもが多い」と指摘している。
▼高校の不登校
道内公立高校の不登校生徒数は前年度と比べて百二十五人減の八百五十六人。経済的理由や病気などによって、年間三十日以上欠席した生徒一千百六十七人の七割以上を占めた。在籍比は〇・一〇ポイント減の〇・八二%。
学年別では、一年生が百五十一人、二年生が百四人、三年生が五十三人、四年生が一人、単位制が五百四十七人。
不登校のきっかけ(複数回答)は、「無気力」(二五・六%)、「不安など情緒的混乱」(一九・四%)、「あそび・非行」(一五・五%)、「病気による欠席」(一二・一%)、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」(一〇・〇%)が多かった。
国立、私立を加えた全国の不登校生徒数は五万三千百五十四人で一千人当たりの不登校生徒数は十五・九人。本道は一千六十九人で七・九人と全国の約半数になった。
▼高校の中途退学
道内公立高校の中途退学者数は二十五年度と比べて二百九十九人減の一千四百六十五人で、全生徒に対する中途退学率は〇・二ポイント減の一・四%。学年別では、一年生が五百八十六人、二年生が三百二十人、三年生が百三十人、四年生が十一人、単位制が四百十八人だった。
中途退学の理由は、「進路変更」(五五・八%)と「学校生活・学業不適応」(二七・四%)で八割以上を占めた。
国立、私立を含めた全国の中途退学者数は、二十五年度と比べて六千五百二十人少ない五万三千四百三人で、中途退学率は〇・二ポイント減の一・五%。本道は二千四百十九人、一・六%で、中途退学率は全国より〇・一ポイント高かった。
道内公立高校の中途退学者数が減ったことについて、道教委では「各校で生徒一人ひとりの個に応じた指導・相談体制を行ってきた成果」とみており、今後も進学前の進路相談を重視していく考え。
道教委は、小・中学校の不登校、小学校の暴力行為が増えたことについて、「依然として多くの児童生徒が問題を抱えており、憂慮すべき状況」とコメント。生徒指導上の諸問題について、未然防止、早期発見・早期対応につなげていくため、教育相談体制の充実、教員の生徒指導力の向上、関係機関との連携などを進めていく考えを示した。
さらに、児童生徒のコミュニケーション能力の向上を図るとともに、自分や他人を大切にする心や、望ましい人間関係をつくる力を育む取組を一層進める考えを強調。中一ギャップ問題未然防止事業、高校生ステップアップ・プログラム事業などコミュニケーションを重視した事業の普及・啓発を目指していく。
なお、いじめの認知件数の公表は、十月下旬を予定している。
(道・道教委 2015-09-17付)
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