北聴研が第１７次第３回研究大会　生きる力育む指導法を　九州保健福祉大教授の講演も

（関係団体 2015-10-19付）

北聴研が研究大会

　【旭川発】道聴覚障がい教育研究会（佐藤靖典会長）は十月上旬の二日間、旭川聾学校（上林宏文校長）で第十七次第三回研究大会旭川大会を開催した＝写真＝。研究主題は「コミュニケーション力と考える力を高め、生きる力を育む指導法の研究」。全道から約七十人が集まり、研究協議や公開・特設授業、九州保健福祉大学の上農正剛教授による記念講演を通して、聴覚障がい教育の改善・充実に努めた。

　同会の研究主題は、「コミュニケーション力と考える力を高め、生きる力を育む指導法の研究～学力を向上させる言語指導と教科指導の工夫」。三年計画のうち、本年度が最終年次となっている。

　子どもの段階に応じた考える力・学ぶ力・伝え合う力・読みの力などの向上を通して、学習意欲や主体的な態度の育成に努めている。

　初日、開会式では、佐藤会長があいさつ。同会の研究にふれ、「聴覚障がい教育を取り巻く環境が変化する中、今日的な課題を踏まえた実践研究が大切。皆さんの深い検証による本日の大会が、あすへの実践の充実につながれば」と期待を寄せた。

　続いて、あいさつに立った上林校長は「子どもが主役の教育活動の推進を基本に、分かる喜び、学ぶ楽しさに焦点を当て、主体的に学べるよう様々な工夫を進め研究してきた。皆さんの意見をもとに、今後の活動に取り入れていきたい」と述べた。

　つぎに、同校の及川澄志教諭が研究課題の推進について説明した。

　このあと、研究発表部会に移り、乳幼・幼稚部、小学部、中学・高等部、重複障がい教育、寄宿舎教育の五部会に分かれて研究協議した。

　二日目は、寄宿舎公開とともに公開授業および特設授業を実施したほか、授業研究部会での研究協議を行った。

　また、九州保健福祉大社会福祉学部子ども保育福祉学科の上農教授が「聞こえない子どもの言語環境の整備」と題して記念講演を実施。高等部における教科内容の積み残し問題について説明した。子どもを分からないという状態に置くと、生徒の学習意欲低下につながることを指摘。また、書記日本語（読み書き）の基礎力がないまま学習が進むことによって、指導が行き詰まることを挙げた。

　そのため、積み残しを生み出さない指導を実践するとともに、書記日本語習得の初期段階における取組の重要性を強調。小学部低学年までに、①基礎的語彙（名詞）の確実な定着②動詞の基本的活用（規則）の完全習得③助詞の運用の完全習得―の三点を徹底するよう求めた。

　聞こえない子どもが書記日本語学習における文法規則を自然に習得することが困難なことから、意図的・意識的な学習を心がけるよう注意喚起した。

(関係団体 2015-10-19付)