道子どもの貧困対策推進計画素案 教育支援―退職教員の学校配置など 成長段階に応じた施策展開(27~31年度) 道保健福祉部(道・道教委 2015-10-26付)
道保健福祉部は、道子どもの貧困対策推進計画(素案)をまとめた。二十一日に開かれた第三回北海道総合教育会議で示されたもの。計画期間は二十七年度から三十一年度までの五年間。「教育支援」「生活支援」「保護者に対する就労支援」「経済的支援」の四つを柱とする施策の体系を示し、子どもの成長段階に応じて、切れ目のない施策を展開。教育支援では、学校における総合的な支援として、退職教員などを非常勤講師として学校に配置することや、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーの配置を推進することなどを盛り込んだ。今後、協議を進め、年内の策定を目指す。
全国の子どもの貧困率が二十四年に過去最悪の一六・三%となり、子どもの六人に一人が平均的な所得の半分以下の世帯で暮らしている。二十六年一月に施行された「子どもの貧困対策の推進に関する法律」に基づき、同年八月に「子どもの貧困対策に関する大綱」が策定された。
これを踏まえて道においては、教育・福祉・労働等の各部局が連携し、教育支援や生活支援、親への就労支援、経済的支援などの施策を総合的・効果的に進めるため、道子どもの貧困対策推進計画を策定することとした。計画期間は、二十七年度から三十一年度までの五ヵ年。
計画素案をみると、「基本的考え方」「子どもの貧困の現状と課題」「計画のめざす姿と基本的な対応方向」「子どもの貧困対策に向けた当面の重点施策」「計画の推進」の五章で構成。子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることなく、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図り、北海道すべての子どもたちが、夢と希望をもって成長していける社会の実現を目指していく。
そのための重点施策として、①教育支援②生活支援③保護者に対する就労支援④経済的支援―の四つを柱に掲げた。
教育支援では、子どもたちが家庭環境に左右されることなく確かな学力を習得できるよう必要に応じて教員を加配するほか、きめ細かな学習指導を推進。子どもの貧困問題に関する教職員の理解を深める研修も実施する。
スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの配置、親が家庭教育に関する学習や相談をできる環境の整備、コミュニティ・スクールの導入を含めた地域の教育力の向上も盛り込んだ。
就学支援にもふれ、高校授業料の経済的負担の軽減、高校中途退学を防止する取組、中途退学した子どもへの学び直しに対する支援、キャリア教育の充実のほか、生活困窮世帯や生活保護世帯、児童養護施設、ひとり親家庭の子どもへの学習支援も行う。
義務教育期間の子どもがいる生活保護世帯への給食費や学用品にかかる費用の支給も示した。
大学進学等の教育機会を提供するため、無利子奨学金制度の充実、奨学金の返済月額が卒業後の所得に連動する柔軟な「所得連動返還型奨学金制度」「給付型奨学金制度」の導入について国へ要望していく。
また、子どもの貧困に関する指標を示し、生活保護世帯の子どもの高校等進学率を二十六年の九六・一%を三十年度までに九八%にするなど十項目にわたる目標値を掲げた。
生活保護世帯の子どもの高校等中退率四%を三%、毎年度の進級時に学校で就学援助制度の書類を配布している市町村の割合を八二・一%から一〇〇%にすることも目指す。
第三回道総合教育会議では、計画の内容について協議。委員からは、「体調が悪くなった子どもを祖父母に預けることのできないケースもあり、親だけではなく地域全体で見守ることが大切」「学校が窓口となって、早期の生活支援、福祉制度へつなげることも必要」などの意見が出された。
教育支援の大切さについてもあらためて確認し、「学習に集中するためには、心身ともに安定した生活を送ることが必要であり、貧困という理由で妨げてはならない」「少人数の習熟度別指導、放課後の補習を行うための教職員の指導体制の充実が大切」「個人情報やプライバシーに配慮すべきであり、誰でも無料で受けられる講習を開くことで子どもたちも積極的に参加できると思う」などと述べていた。
道の内海敏江少子高齢化対策監は「当事者や支援者、パブリックコメント、道議会における意見を踏まえて年内に策定する」との考えを示した。
(道・道教委 2015-10-26付)
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