教職員の政治的行為 規則抵触の具体例を提示 道教委が学校・教委へ通達等(道・道教委 2015-10-27付)
道教委は、「教職員の政治的行為の制限」について、道立学校長・市町村教委教育長(札幌市を除く)・教育局長に対し、法令等に違反するおそれのある具体例を示して、教職員への指導を徹底するよう求めた。教育長名で通達・通知した。人事院規則に基づき、「〝○○政治を許さない〟〝○○政治打倒〟〝○○政治反対〟などの文言が印刷されたクリアファイルなどの文房具を校内で配布する行為」は、「政治的目的」「政治的行為」に当たるおそれがあるなどと解説している。
教職員の政治的行為については、三定道議会予算特別委員会で、教職員団体が作成した、政治的スローガンの記されたクリアファイルなどが、職員室で教員の机上に置かれていたとの指摘があった。道教委は、同様の行為の有無などについて、「全道立学校および市町村教委に対し、書面による調査を行っていく」ことを表明。併せて、「道立学校および市町村教委に対し、法令に違反する行為はもとより、道民の誤解を招くおそれがある行為について、具体的に示し、指導助言していく」と答弁した。
道教委が発出した教育長名通達・通知「教職員の政治的行為の制限について」では、法令等に違反するおそれのある具体例を示し、その周知を求めるとともに、「法令に違反する行為はもとより、教育の政治的中立性を疑わしめる行為によって、学校教育に対する道民の信頼を損なうことのないよう指導を徹底し、服務規律の確保に万全を期す」ことを呼びかけている。
一方、学校・教育委員会への調査については、教職員課服務担当課長名で通知し、学校の全職員を対象に、無記名による調査を依頼した。
通達・通知で示した「違反行為などの具体例」はつぎのとおり。
【禁止されている政治的行為の考え方】
人事院規則一四―七は、国家公務員法一〇二条でいう「政治的目的」と「政治的行為」を五項と六項に分けて定義づけ、この両者を合わせもつ行為を禁止する政治的行為としている。
【具体例】
1 「○○政治を許さない」「○○政治打倒」「○○政治反対」などの文言が印刷されたクリアファイルなどの文房具を校内で配布する行為
①規則第五項の「政治的目的」について
「○○政治を許さない」「○○政治打倒」「○○政治反対」などの文言が、社会情勢などから特定の内閣を想像するに難くない場合などは、規則第五項第四号「特定の内閣を支持し、またはこれに反対すること」に当たるおそれがある。
②規則第六項の「政治的行為」について
「○○政治を許さない」「○○政治打倒」「○○政治反対」などの文言が印刷されたクリアファイルを配布する行為は、規則第六項第一三号「政治的目的を有する署名または無署名の文書、図画、音盤または形象を発行し、回覧に供し、掲示し、もしくは配布し、または多数の人に対して朗読し、もしくは聴取させ、あるいはこれらの用に供するために著作し、または編集すること」に当たるおそれがある。
2 「○○政治を許さない」「○○政治打倒」「○○政治反対」などの文言が印刷されたバッジを勤務時間内に着用する行為
①規則第五項の「政治的目的」について
上記1の①と同じ。
②規則第六項の「政治的行為」について
教員が「○○政治を許さない」「○○政治打倒」「○○政治反対」などの文言が印刷されたバッジを勤務時間中に着用することは、規則第六項第一五号、第一六号に規定する、「政治的目的をもって、勤務時間中において、政治上の主義主張または政党その他の政治団体の表示に用いられる旗、腕章、記章、えり章、服飾、その他これらに類するものを着用し、または表示すること」に当たるおそれがある。
3 職員室において政党等の機関紙を回覧する行為
①規則第五項の「政治的目的」について
政党等の機関紙は、一般的に規則第五項第三号「特定の政党その他の政治的団体を支持し、またはこれに反対すること」に当たるおそれがある。
②規則第六項の「政治的行為」について
政党等の機関紙を回覧する行為は、規則第六項第一三号「政治的目的を有する署名または無署名の文書、図画、音盤または形象を発行し、回覧に供し、掲示し、もしくは配布し、または多数の人に対し朗読し、もしくは聴取させ、あるいはこれらの用に供するために著作し、または編集すること」に当たるおそれがある。
4 職員室において政党等の機関紙を配布する行為について
政党等の機関紙を配布する行為は、それ自体政治的目的をもつ行為と考えられ、規則第六項第七号「政党その他の政治的団体の機関紙たる新聞その他の刊行物を発行し、編集し、配布し、またはこれらの行為を援助すること」に当たるおそれがある(規則第六項第七号に該当する行為は、それ自体で政治的目的を有する行為とされ、ほかに別な政治的目的をもってすることを要件としない)。
なお、政党等の機関紙を見本として置く行為についても「配布」に当たるおそれがある。
※なお、上記以外においても、教員が「○○政治を許さない」「○○政治打倒」「○○政治反対」などの文言が印刷されたクリアファイルを職員室の自分の机の上に置いたり、校内で個人的に使用する行為は、直ちに規則第六項に規定する「政治的行為」に当たるとは言えないが、児童生徒や保護者等の目にふれ誤解を招くおそれがある。
(道・道教委 2015-10-27付)
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