道国語教育連盟が第70回研究大会 言葉の力鍛える授業創造 公開授業など通し500人研鑚
(関係団体 2015-10-29付)

道国語教育連盟研究大会
道国語教育連盟研究大会

 【旭川発】道国語教育連盟(川嶋英輝委員長)は二十三日、旭川市立東陽中学校(小野寺憲治校長)をメーン会場に、第七十回道国語教育研究大会旭川大会を開催した=写真=。研究主題は「主体的な学びを生み出す言語活動を通して ひびき合う言葉の力を鍛える授業の創造」。小・中学校合わせて十六授業を公開したほか、分科会での提言発表・研究協議を行った。全道から約五百人が集まり、国語科の指導力向上に向けて研鑚を積んだ。

 旭川市教育研究会国語部会、書写部会主管。道教委、旭川市教委、旭川市教育研究会、上川管内教育研究会、旭川市小学校長会、旭川市中学校長会、上川管内校長会、旭川市小中学校教頭会、上川管内教頭会など後援。

 同連盟では、研究主題に沿って、①学ぶ意欲を引き出す課題設定②学びの必然性を重視した学習過程③思考と発見のある学習場面の設定―の三視点を設定した。

 うち、②においては、「活用のため進んで習得する。習得すると自然と活用したくなる」学習過程を意識。連続性のある国語力の習得・活用を図るとともに、子ども自身がもつ見通しと学びの振り返りを重視した。

 加えて、同大会では研究主題の具体化を目指して、「単元デザイン」を導入。単元の全体像やゴールまでの道筋、付けたい言葉の力や言語活動等を一枚のシートにまとめた。

 開会式に先立ち、市立共栄小学校で十授業、東陽中で六授業を公開した。

 つぎに、開会式に移り、大会長を務める川嶋委員長と福家尚大会運営委員長があいさつした。

 川嶋委員長は研究主題の実現に向けて、思考力・基礎力・実践力の育成が求められていることから、「本大会、昨年の大会成果と新たな成果を合わせて、全道へと実践が伝播する大会となるよう、皆さんの協力をお願いしたい」と呼びかけた。

 福家大会運営委員長は、今後、各教科での言語活動の充実が一層求められることを指摘。「言語活動の位置付けや活用の有効性などについて意見を寄せてもらえれば」と述べた。

 次いで、来賓として上川教育局の小野寺一郎局長と旭川市教委の小池語朗教育長が登壇した。

 小野寺局長は「国語科における言語活動の充実のため、付けたい力を明確にするとともに、単元を貫く言語活動を設定し、指導事項を確実に指導することが必要」と説明。大会成果を各学校の実践に活用し、国語科教育の一層の充実につなげるよう期待を込めた。

 小池教育長は旭川市における読書活動の取組、指定事業などを紹介し、「本大会はその成果を検証する機会。皆さんの意見をもとに、本市の国語教育を前進させていきたい」と語った。

 続いて、アトラクションとして東陽中合唱部の部員約三十八人が歌声を響かせた。

 このあと、分科会では提言発表や研究協議を行い、国語科指導の充実に向けて研鑚。分科会後は、同連盟の総会を開き、前年度および本年度の活動を振り返った。

◆要旨まとめ自分の考えを―旭川春光小の高橋教諭が授業

 この日、共栄小で十授業を公開した中で、六年「未来予想交流会で広げよう深めよう~〝自然に学ぶ暮らし〟から見える2030年の未来」(児童数三四人)を、市立春光小学校の高橋孝明教諭が指導した。筆者の主張の要旨を約百字にまとめる言語活動を通して、自分の考えをもつ授業を進めた。

 本単元では、筆者の考えや資料をもとに、未来予想の意見文などをまとめて交流し、自分の考えを広げる言語活動を行うこととした。具体的には、①学習前の自分の考え②筆者の主張を約百字にまとめる③学習後の自分の考え―の三点で意見文とした。

 児童に付けたい言葉の力として、「事実と意見の関係を押さえ、的確に要旨をとらえて自分の考えを明確にする」「未来予想交流会を通して、自分の考えを広げたり深めたりする」を設定した。

 全六時間扱いの単元において、本時の三時間目に至るまで、筆者の意見を整理し、自分たちの生活と比べる授業を展開。本時は、「意見文を書くために、要旨を的確にとらえ、自分の考えをもつことができる」をねらいとした。

 導入部において、高橋教諭はトンボの羽の仕組みを生かした風力発電機をはじめとした、自然の中からヒントを得て開発された技術を写真で提示。自分たちの生活と比べたことなどを振り返らせ、前時の確認を行った。

 「要旨をとらえて自分の考えを深めよう」と課題を示したあと、児童は接続詞や語尾、共通している言葉などを手がかりに課題に挑戦。「私たちの未来の生活には、資源を使うことに冠して様々な制約がある」と発表していた。

 続いて、高橋教諭は要旨に対する自分の考えを児童に問いかけた。児童は、「自然から学んで生きていきたい」などの答えが挙がった。

 おわりに、まとめとして意見文の構成、要旨などを確認した。

◆社説を比較し表現など理解―旭川春光台中の高木教諭が指導

 中学校の公開授業のうち、三年「コラムニストになるために」(生徒数三〇人)では、市立春光台中学校の高木志磨人教諭が指導した=写真=。国語世論調査に対する二つの社説AとBを読み比べ、表現や論理の特徴について理解を深める授業を行った。

 本単元における付けたい力として、「読み比べを通して効果的な説明について考え表現する力」「ネット情報の利点や問題点について理解する力」の二点を設定した。

 単元を貫く言語活動として、構成や展開、表現の仕方について理解を深め、ネット情報に関するコラムを作成して交流。六時間扱いのうち、一~三時間目において、教材における二つの社説の読解を進め、筆者の考えをまとめてきた。

 四時間目の本時は、「読み比べを通して、表現や論理の特徴について理解を深めることができる」を目標とした。

 冒頭、前時の学習を確認した上で、高木教諭は「表現や論理の特徴を読み比べよう」と課題を示した。

 黒板に掲示した社説AとBの序論と結論をもとに、生徒は七グループで両者を比較した。社説AとBを拡大した紙に、色ペンで線を引きながら、根拠の示し方や筆者の意見について考察。その際、机間指導中の高木教諭は両者の共通部分、異なっている部分に注目させていた。

 社説AとBにおける筆者の根拠や意見をまとめて発表した生徒に対し、高木教諭はどちらの社説がより効果的な説明かを考えさせた。生徒は「短い言葉でまとまって分かりやすいB」「身近な言葉があって、どうすればいいか書いてあるA」と回答していた。

 高木教諭は「同じ内容でも、本論の展開次第で結論が変わる。二つを見比べることで、表現や理論の特徴について考えてもらえれば」とまとめた。

 おわりに、次回の学習でネット情報に関するコラムを作成することを伝えた。

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道国語教育連盟春光小
道国語教育研究大会公開授業―春光小
道国語教育連盟春光台中
道国語教育研究大会公開授業―春光台中

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