生きる力育む性教育考察　道性教育研究大会札幌大会開く

（関係団体 2015-11-20付）

道性教育研究大会・会長あいさつ

　第四十四回道性教育研究大会札幌大会および第十九回札幌市性教育研究大会が十三日、札幌市立柏中学校および札幌市立幌南小学校で開かれた。約百人が参加。公開授業や研究発表、講演会などを通して、生きる力を育む性教育の在り方について考え合った。

　道性教育研究会主催、札幌市性教育研究会主管。研究主題は「〝生きる力〟をはぐくむ性教育を目指して～自己肯定感を高め、人間関係力をはぐくむ性教育を目指して」。

　同研究会では、性に関する意識や価値観が多様化する中、子どもを取り巻く家庭環境や社会環境も大きく変化し、児童生徒の心身の発達は性的成熟と社会的成熟とのアンバランスが生じ、性の逸脱行為、性感染症、十代の人工妊娠中絶、薬物乱用、売買春など、性にかかわる問題が深刻化しているととらえる。

　学校においては、人間尊重、男女平等の精神の徹底を図るとともに、人間の性に関する科学的基礎知識を理解させ、人間関係や直面する性の諸課題に対する適切な意志決定や氾濫する性情報への対処の仕方、および危険を回避する行動選択ができる自己決定能力を高めることが重要と考え、研究を進めてきた。

　当日は、開会に先立ち、柏中および幌南小で三つの授業を公開した。

　柏中で行われた開会式では冒頭、道性教育研究会の蛯名嘉津夫会長＝写真＝があいさつ。昭和四十六年に設立した同会の歴史を振り返りながら、性に対する規範意識の低下などにふれ、「人工妊娠中絶は、本道が全国平均よりも高く推移している。あらためて性教育の意義をしっかり認識し、生命尊重、男女平等の精神に基づく望ましい異性間や適切な人間関係を身に付けさせることが重要」と呼びかけた。

　道教委の菅原行彦学校教育局指導担当局長、札幌市教委の松田昌樹児童生徒担当部長が来賓あいさつし、学校における性に関する指導の充実に期待を寄せた。

　このあと、研究発表や講演会を実施。道助産師会会長であり助産院エ・ク・ボ院長の高室典子氏が「生まれてくる命をみつめて～いのちって、あったかい」と題して講演した。

(関係団体 2015-11-20付)