子の幸せ考えた制度を 札私幼と札私幼P連が28年度予算で札幌市・市教委に要望(関係団体 2015-11-24付)
一般社団法人札幌市私立幼稚園連合会(=札私幼、前田元照会長)と札幌市私立幼稚園PTA連合会(=札私幼P連、白井晴彦会長)は五日、札幌市および札幌市教委に二十八年度予算に対する要望書を提出した。ことし四月から本格施行した子ども子育て支援新制度にふれ、何よりも子どもの最善の幸せを考えた新たな札幌スタイルを実現してほしいと要望。このほか、特別支援教育事業、教材教具補助事業、就園奨励費補助金の一層の充実を求めた。
予算要望の概要はつぎのとおり。
▼札私幼
▽特別支援教育事業
十六年に開催された市幼児教育市民会議以降、市教委と本連合会が連携協力して、本市における幼児教育の充実にかかわる施策のうち、支えつなぐ仕組みを充実させてきた。
その中でも、二十二年度に新設された「私立幼稚園特別支援教育事業費補助金」については、年々増加し続ける「支援を必要とするすべての子ども」に対して、十分な保育環境の中で生活し、一人ひとりの自立に向けたきめ細やかな適切な支援体制を充実させるため、一園当たりの基準額の単価を見直し増額することが必要不可欠である。
また、現在は、要支援児の総数が十六人以上で補助対象事業の実施に要する教諭の人件費が四人分支給されるが、要支援児の総数を十六人から十三人に緩和し、要支援児四人に対して一人分の人件費が支給されるような補助制度の向上・拡充を切に要望する。
▽教材教具補助事業
本事業に関しては、二十二年度から総体的に補助額が縮減される実績となったが、昨今の私立幼稚園を取り巻く厳しい経営環境にあっては、良質な保育環境の整備と維持に公的助成が欠かせない。
また、本年度から「子ども子育て支援新制度」が本格施行されたことによって、今まで以上に教育・保育の質の向上に努める必要があることから、新たな保育環境の充実にも公的助成が欠かせない。
予算総額の維持ないし増額とともに、対象事業や補助単価など見直しを図り、より実効性のある事業とすることを要望する。
▽一時預かり事業
①幼稚園型の推進
札幌の私立幼稚園のほとんどは、預かり保育を長期休業期間等も行い、保育所等と同水準の教育・保育時間を確保し、待機児童の受け皿となっている。
市は本年度、施設型給付を受けない幼稚園においても「一時預かり事業」の受託を可能とし公費負担の対象としているが、開所日数の柔軟な対応をすることで受け皿となる施設が増えると考えられる。また、現在認定を受けている園においても、実際はそれ以上の利用があるのが現実である。
さらにニーズを満たす範囲で積極的に支援を検討してもらい、量的拡充に止まらず、よりきめ細かい保育の質が保障できる補助単価を確保することを要望する。
②一般型の推進
近年の未就園児の保育に対するニーズの高まりを受け、私立幼稚園では市の子育て支援対策の一環として未就園児の受け入れを進め、保護者支援を行い待機児童の解消を図ってきたと自負している。
また、空き教室を活用した「幼稚園保育室運営支援事業」では、積極的に三歳未満児を受け入れ、市の待機児童対策に協力していく。
このたびの、在園児以外を対象にした「一般型幼稚園タイプ」の一時預かり事業においても、幼稚園の二歳児受け入れの実態や役割を適切に評価いただき、財政措置を含むさらなる支援を行うよう要請する。
▽研修費等助成事業(団体補助)
本連合会では、職員の資質向上のための研修事業と労働環境の充実のため様々な事業を実施しているが、教員免許更新制や学校評価の推進など研究研修事業は拡大の一途をたどっている。
現在、その様な状況を勘案し本連合会としても厳しい経営環境のもとにおいて、事業見直しを実施し、さらに会費改定も検討中である。
市においては十七年度の大幅な減額に続き、二十六・二十七年度と連続で減額された結果、現状の研修体制を維持することさえ困難な状況が続いている。
さらに、子ども・子育て支援新制度の施行によって実施されている研修(保育士関係の研修体制等)の質向上にも影響があり、質の高い幼児教育を担っていくための団体運営が非常に厳しい状況にさらされていることから、団体補助の拡充等について、再度、検討するよう強く要望する。
▽人材確保事業(幼稚園教諭・保育教諭)
最近の保育所の増加等により、札幌の私立幼稚園・認定こども園でも幼稚園教諭・保育教諭の確保に厳しさを感じるようになった。
そのため、本連合会では二十六年度から「就職フェア」を開催し、私立幼稚園・認定こども園の先生として働く魅力を発信するとともに、各園における採用を支援する事業を実施している。
今後、教育・保育の質をさらに向上させていくためには、優秀な人材を継続的に確保していくことが必要であり、本連合会主催の「就職フェア」の充実は、札幌の幼児教育の質を高め、子どもたちの育ちを保障することにつながると確信している。
また、この事業は、地元学生の就職活動をサポートするという公益的な側面もある。幼稚園教諭・保育教諭の人材確保事業に対する市としての支援を求める。
経済的負担減・就園機会確保を
▼札私幼P連
▽保護者負担の軽減
幼児期における教育は、「生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なもの」である。「生きる力の基礎」を育成し、「義務教育およびその後の教育の基礎を培う」ために、幼児教育の重要性が、広く深く認識されるようになってきた。
質の高い幼児教育を、市内に住む多くの子どもたちが享受できるようにするためには、保護者の経済的負担を軽減し、幼稚園・認定こども園の就園機会の充実を図ることが第一である。未来を担う「さっぽろっ子」を育てるために、積極的な支援を要望する。
また、第二子の保育料無償化については、幼児教育の機会を保障するためにも、少子化に歯止めをかけるためにも、三歳未満児に限定せず、幼稚園や認定こども園に通う三歳以上児も対象とするよう、実現に向けての前向きな取組を強く要望する。
①就園奨励費補助金
市では、十八年度に振興費補助金「Fランク」が廃止されたのに続き、二十二年度には「Eランク」が廃止された。
現在、多くの政令指定都市では、市単費での就園奨励費の上乗せや対象外の世帯への補助等の独自補助制度がある。二十七年度において、このような市の補助がないのは政令指定都市上位十五都市中、札幌市のみである。「安心して子どもを産み育てられる街」を目指す自治体としては、残念な状況と言わざるを得ない。
また、全所得層で市独自補助を受けている保育所利用の保護者との格差があり、札幌市にともに暮らし、ともに市政を支えるものとして、納得できない。
そこで、「Sランク」の世帯の補助について、他の政令指定都市に準じ、拡充されることを切に要望するとともに、就園機会の拡大のため、私立幼稚園に通うすべての保護者世帯が市単費の補助を受けられるよう、併せて要望する。
②新制度に移行する園の利用者負担額(一号認定)
新制度に移行した園と私学助成の園との間で、保護者の平均的な保育料負担額に不公平が生じないような制度設計であるべきである。
しかし、市の場合、新制度に移行した園の第二子(一号認定)の利用者負担額は、私学助成の幼稚園に通う第二子の平均的かつ実質的な保育料負担額より著しく高く、これが保護者の園選びにも少なからず影響している現状もあるため、法人が差額分を負担しているケースもある。
第二子の利用者負担額(特に、世帯の大半を占める第三区分から第五区分)の減額を強く求める。
また、今後、新制度の幼稚園・認定こども園が増えていくことが想定される中、条例が定める利用者負担額は、「札幌市が幼児教育をどれだけ大切にしているか」を示す尺度になると思われる。就園奨励費とのバランスを取りながら、第一子も含めて利用者負担額の減額を要望する。
▽PTA団体助成金
十一年度まで六十万円だった団体助成金は、十二年度から四十五万円、さらに十七年度から四十万円に減額され現在に至っているが、当該助成金は多様化するPTA活動の事業費の根幹をなす貴重な財源である。
ここ数年、子育て支援と同様に「親育ち支援」が求められ、保護者が親として育つための各種研修会の企画運営など、PTA活動が担うべき役割は極めて大きくなってきている。
また、社会情勢の変化とともに家庭の子育て力や地域の教育力の低下が懸念される中、親と親を結び付け、親と園を結び付けるPTA団体の存在意義も、今まで以上に増している。
この現状を認識し、PTA活動の円滑な運営のため、団体助成金の増額を要望する。
(関係団体 2015-11-24付)
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