心の教育推進会議主催研修会　必要なのは自己有用感　旭川日赤病院・諏訪氏がネット社会で講演

（道・道教委 2015-12-09付）

人権教育指導者研修会・諏訪氏講演

　「心の教育推進フォーラム兼人権教育指導者研修会」（四日、札幌市内かでる２・７）では、旭川赤十字病院第一小児科部長の諏訪清隆氏が「ネット社会に生きる子どもたちのために～課題と向き合い、今、何をすべきかを考える」と題して講演した＝写真＝。「大人が正しい知識をもって手本となる」などとメディア対策の基本を挙げるとともに、「今の子どもたちに必要なものは自己有用感」と述べ、「子どもたちのためにできることから始めよう」と呼びかけた。

　フォーラム兼研修会は、北海道心の教育推進会議（道・道警本部・道教委）が二十七年度法務省人権啓発活動地方委託事業として開催。午前中は研修会、午後は研修会とフォーラムの合同で開き、そのうち、午前中の研修会で講演を行った。

　諏訪氏は、講演の中で、インターネット等の長時間使用が、愛着形成や基本的信頼関係構築等の親子関係への影響、子どもの体力低下、ネット依存等の脳と心への影響などをもたらすことを、詳細なデータをもとに説明した。

　ネットトラブルやネットいじめの危険性も紹介し、「スマホ・ネット利用には、高い社会力と自己コントロールが必要」と述べた。

　その上で、メディア対策について、「禁止や制限は必要だが、それが目的ではない」ことを踏まえながら、「子どもの発達、成長に悪影響が出ないように見守り、コントロールして予防する」ことの必要性にふれた。

　対策の基本として、「大人が正しい知識をもって手本となる」「子どもの話を聞き、対話する」「子どもたちの様子に注意する」「メディア利用について話し合う機会や使用状況を見直す機会をつくる」「学校や家庭でアウトメディアへの具体的な取組を始める」ことを挙げた。

　子どもたちには、「個人が特定される情報は書き込まない」「ＬＩＮＥ　ＩＤを公表しない」「〝無料〟の言葉には要注意」「誤って入ってしまったサイトからの〝退会手続〟や〝高額請求〟には対応しない」「トラブルには絶対、自分一人で対応しない。家族や先生に必ず相談する」ことを求めた。

　また、「今の子どもたちに必要なものは自己有用感」と指摘し、「子どもたちのために、小さなことでも、できることから始めよう」と呼びかけた。

(道・道教委 2015-12-09付)