道研がキャリア教育研修講座開催 授業つながる未来意識し 筑波大・藤田教授が基調講義(道・道教委 2015-12-08付)
道研キャリア教育研修講座
道立教育研究所は十一月二十五日から三日間、同所でキャリア教育研修講座を開催した。初日、筑波大学人間系教育学域教授の藤田晃之氏が「学校の特色を生かしたキャリア教育の在り方」をテーマに基調講義=写真=。「キャリア教育を教科の中で行い、今、学習していることが社会に、将来にもつながっていることを子どもたちに伝えてほしい」と求め、「今の授業がつながる未来を意識しよう」と呼びかけた。
同研修講座は、キャリア教育の現状と課題について理解を深め、学校の教育活動全体を通じて、児童生徒の発達段階に応じて計画的・体系的に行うキャリア教育の推進役としての実践力を身に付けることを目的に開講。小・中・高校の教諭二十四人が参加した。
初日、筑波大の藤田教授が「学校の特色を生かしたキャリア教育の在り方」をテーマに基調講義。キャリア教育推進の柱として、「子ども・若者の発達段階に応じて学校の教育活動全体を通じた指導を進める」「職場体験活動・インターンシップ等の体験活動や外部人材の活用など地域・社会や産業界などと連携・協力した取組を推進する」―の二本を示した。
学校の特色を生かしたキャリア教育を実践する上でのポイントとして、①「スタートライン」と「ゴールライン」を明確にし、PDCAサイクルの基盤をつくる②教育活動の全体を通じて取り組む―の二点を提示。
計画策定までのプロセスについて、「始めに目の前にいる子どもたちの実態を具体的に把握する」ことを挙げ、学校の特色を生かしたキャリア教育を進めるため、“現状把握をしっかりと”するよう求めた。
つぎの段階、目標設定に当たっては、「生き生きと光り輝く子ども」「たくましく未来を切り拓く力」など、抽象的な表現では「ゴールの共通理解はできない」と強調。卒業時点で“できるようにさせたい”行動で示すよう要請。その上で、それらの諸行動を「基礎的・汎用的能力」を構成する四つの能力(「人間関係形成・社会形成能力」「自己理解・自己管理能力」「課題対応能力」「キャリアプランニング能力」)に区分して整理するよう求め、「目標に“学習意欲の向上”が位置付けられていないと、キャリア教育の推進力は急速に弱まる」と訴えた。
職場体験活動について、「学習のユニット(単元)してとらえる」よう求め、事前に「ねらいや意義を子どもに十分に理解させ」、事後に「他者と体験を共有し、広い認識につなげる必要がある」と説明した。
また、「目標がしっかりしていれば、評価は難しくない」とし、評価(見取り、点検)は「スタート、目標・計画に立ち返ることが重要」と述べた。
目標(ねらい)に則して、教育活動の全体を通じて取り組むため、学校の教育活動の中にあるキャリア教育の“断片”を「洗い出し」、焦点化した“断片”を「つなぎ」合わせ、体系的・系統的に指導していくことが重要と説明した。
最後に、「キャリア教育を教科の中で行い、今、学習していることが社会に、将来にもつながっていることを子どもたちに伝えてほしい」と求め、「今の授業がつながる未来を意識しよう」と呼びかけた。
二日目は、講義・演習のほか、「キャリア教育の充実を図る教育活動の実際」として、北広島市立双葉小学校の植田孝一教諭、美瑛町立美馬牛中学校の土居美香教諭、岩内高校の三浦康宏教諭が実践発表した。
三日目は、㈱日本マンパワー札幌支社キャリア形成アドバイザーの山内雅恵氏が「キャリアカウンセリングの考え方と実際」をテーマに講義を行った。
(道・道教委 2015-12-08付)
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