【28年新年号】学力の向上へ日常的に授業改善―道教委 授業のヒントがここに チャレンジテスト活用を
(道・道教委 2016-01-01付)

 本年度全国学力・学習状況調査の結果、道内小・中学校の授業について、冒頭の目標提示や最後の振り返り活動に課題があることなどが明らかとなった。道教委は、授業改善に当たり、「先生方には、まず、調査問題を自ら解いてみてほしい」と呼びかける。全国調査問題は、実際の授業場面をイメージして作成されており、授業改善のヒントがちりばめられている。ほっかいどう「チャレンジテスト」も、同様の趣旨で作成する問題を増やしている。道教委は、「授業のヒントがここにある」と訴え、全国調査問題や「チャレンジテスト」問題を活用し、日常的な授業改善に取り組むよう訴えている。

 道教委は、本年度全国調査結果をもとに、「授業改善」「学習習慣・生活習慣」にかかわる本道の課題を分析。「授業改善」については、冒頭で学習目標を示す活動を計画的に「よく行った」学校が全国に比べて少なく、最後に学習を振り返る活動を計画的に「よく行った」学校が全国より多いが、上位県の秋田県より少ないなどの課題が明らかになった。

 授業に目標提示や振り返りの活動がしっかりと位置付けられていないため、授業のねらいや身に付ける力があいまいな学習活動が展開される、子どもが見通しをもてないまま学習している、理解や定着が不十分なままの子どもがいるなどの問題が生じる。そこで、道教委は、目標達成に向けた学習課題を工夫することや、振り返りの活動を必ず位置付けることなどを呼びかけている。

 併せて、全国調査問題を活用した授業改善を提起した。

 全国調査問題は、学習指導要領に示されている内容を具体化して出題したもの。学習指導要領で求められている言語活動を授業場面で具現化したり、授業での発問・指示をイメージしたりして問題を作成していることから、調査問題で示される内容を活用して、実際の授業での言語活動や発問・指示を工夫・改善できる。

 また、調査問題は、評価の観点を明確にして作成しているため、同じ学習内容を扱う授業や単元の評価問題として活用し、学習内容の定着状況を把握して、授業改善につなげることができるとしている。

 同様の趣旨は、ほっかいどう「チャレンジテスト」にも生かされている。

 「チャレンジテスト」は、子どもたちに基礎的・基本的な内容の確実な定着を図る取組として、二十一年度から道教委が実施している。問題は、「北海道学力向上Webシステム」を通して配信しており、その一部は、道教委のホームページからダウンロードできる。

 「チャレンジテスト」の中から、小三算数の二学期末配信問題をみると、単に四角形の辺の長さを足したり、比較したりするのではなく、駅からタワーに行く道のりを尋ねている。日常生活と関連づけて取り扱うことが求められることに対応して出題した。

 併せて、正答だけを求めるのではなく、どのように問題を解いたのか、その思考過程も重視する必要があることから、答えの理由も尋ねている。

 日常生活との関連づけや思考過程の重視は、日ごろの授業でも求められることであり、問題を通して、授業改善のヒントを提示する仕掛けになっている。

 「チャレンジテスト」は、子どもたちのための練習問題としてスタートした取組だが、近年は、学習指導要領で求められる授業像を提示する問題を増やしている。

 「授業のヒントがここにある」。道教委は、そう訴え、全国調査問題や「チャレンジテスト」を活用し、出題意図等を全教職員が共通理解して、学校全体で日常的な授業改善に取り組むよう呼びかけている。

(道・道教委 2016-01-01付)

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