特別支援文教施策要望への道教委回答(道・道教委 2015-12-28付)
道特別支援学校長会(五十嵐利裕会長)、道特別支援学校副校長・教頭会(日向正明会長)、道公立学校事務長会(永井進会長)の『二十八年度道文教施策に関する要望書』に対する道教育委員会の回答はつぎのとおり。
1 文部科学省施策に関する事項
(1)学習指導要領改訂と教育課程の編成
道教委では、これまでも教育課程改善協議会の開催や『特別支援教育教育課程編成の手引』『特別支援教育教育課程改善・充実の手引』などを作成・配布するなどして、教育課程の編成、実施、評価の充実に取り組んできた。
今後も、特別支援教育にかかる国の動向などを注視しつつ、研修会や説明会、学校訪問指導等を通して、各校の特色ある教育課程の充実が図られるよう指導・助言に努めていく。
校内研修促進費等については、道の財政が依然として大変厳しい状況にあるが、引き続き予算の確保に向けて努力していく。
(2)義務教育費国庫負担制度の堅持および拡充
道教委では、義務教育費国庫負担制度の根幹を尊重し、国の責務において確実に財源を保障するべきものと考えており、引き続き、全国都道府県教育委員長協議会や教育長協議会を通して、必要な財源が確保されるよう国に要望するとともに、知事部局とも連携し、必要な財源の確保に努めていく。
就学奨励費制度については、障がいのある児童生徒等の保護者の経済的な負担を軽減するため、引き続き、国に要望していく。
2 北海道の特別支援教育の推進に関する事項
(1)インクルーシブ教育の進展―重点
道教委では、インクルーシブ教育システムの理念を踏まえながら、多様で柔軟な学びの機会を確保する必要があると考えており、これまで、できるだけ身近な地域において専門的な教育を受けることができるよう、特別支援学校はもとより、幼稚園、小・中学校、高校等における特別支援教育の一層の充実が求められるものと考えている。
このため、道教委では、各市町村教委をはじめ、特別支援学校や関係機関等と一層の連携を深めながら、より身近な地域での特別支援教育の充実・推進を図るための具体的な方策等について検討していく。
道教委では、二十四年度から二ヵ年間を美瑛町、二十六年度からは根室市をモデル地域に指定し、個別の教育支援計画を活用した就学先への引継ぎの在り方、就学相談の専門家である地域支援コーディネーターを中心とした本人・保護者への教育相談の進め方など、早期からの教育相談・支援体制の構築にかかる調査研究を行ってきており、「早期からの教育相談・支援体制構築事業」の取組を進めている。
また、市町村教委就学事務担当者を対象とした研修会、小・中学校、高校等の教職員を対象とした特別支援教育充実セミナー、特別支援教育基本セミナー、進路指導協議会の開催、「特別支援学級担当教員サポート体制事業」を実施し、学校や市町村における特別支援教育の取組を支援している。
これまで、特別支援教育に関する各種リーフレットを発行するとともに、市町村教委等の行政関係者やPTA、親の会の方々などに対して、各種研修会などの様々な機会をとらえて、啓発を行ってきており、今後も引き続き、こうした取組に努めていく。
(2)特別支援学校の再編―重点・緊急
特別支援学校の整備等については、「特別支援教育に関する基本方針」に基づき進めることとしており、その基本的な考え方と施策の方向性はつぎのとおり。
▼基本的な考え方
▽既存の特別支援学校の設置状況や各障がいごとの児童生徒等の状況などを十分考慮し、障がいの種別に応じた専門性の高い教育を行う観点に立って、配置する。
▽児童生徒等の在籍状況や今後の推移、地域の状況などを踏まえるとともに、センター的機能を効果的に発揮する観点に立って、検討する。
▼施策の方向性
▽できるだけ身近な地域において、障がいの種別などに応じた専門的な教育を受ける機会を確保するという観点に立ち、児童生徒の障がいの状況や、本人・保護者のニーズを把握しながら、必要な受入体制の整備に努める。
▽在籍者数が十人未満と極めて少なく、今後も同様の状況が引き続くと見込まれる学校については、近隣の特別支援学校の配置状況や受入体制の整備等を踏まえながら、再編に向けた検討を行う。
▽必要に応じて既存の特別支援学校において体制を整備し、異なる障がいも対象とするよう努める。
▽寄宿舎の入舎者数が極端に少ない場合は、同一市町村など近隣の寄宿舎における受入れについて、通学手段の確保等を踏まえながら検討する。
▽寄宿舎の入舎者数が多い場合、必要な整備について検討するとともに、併せて、スクールバスの確保による入舎者数の適正化に努める。
▽学校や寄宿舎の再編に当たり、異なる障がいのある児童生徒を受け入れるケースとなる場合は、それぞれの障がいの特性に応じた教育の専門性を確保するとともに、指導体制や施設面に十分配慮しながら検討する。
また、上記のほか「個別事項」として、障がい種別ごとに施策の方向性を示している。
道教委としては、今後も、道特別支援学校長会と緊密に連携しながら、当該基本方針の内容を踏まえて課題等を検討するとともに、施策を推進していく考えである。
(3)特別支援教育就学奨励費制度の堅持および拡充―重点・緊急
道教委では、就学奨励費負担金等の制度については、国の責務において確実に財源を保障するべきものと考えており、引き続き、全国都道府県教育委員長協議会や教育長協議会を通して、必要な財源が確保されるよう国に要望するとともに、知事部局とも連携し、必要な財源の確保に努めていく。
就学奨励費制度については、障がいのある児童生徒等の保護者の経済的な負担の軽減を図るため、引き続き、国に要望していく。
(4)適切な学びの場の促進と充実―重点
障がいのある幼児児童生徒がより身近な地域でより専門的な教育を受けるため、就学相談の充実が重要であると認識しており、基本方針の改定版においては、「就学に当たっては、本人・保護者等に対し、十分な相談や情報提供を行うとともに、本人・保護者の意見を最大限尊重し、本人・保護者と市町村教委、学校等が教育的ニーズと必要な支援について合意形成が必要であり、早期からの十分な教育相談・支援が行われるよう、市町村教委における体制づくりを促進する」として、基本的な考えを示した。
この基本方針の考えに基づき、道教委においては、二十四年度から国の委託事業である「早期からの教育相談・支援体制構築事業」に取り組み、これまで、道内各地域において、障がいのある子どもに対し、早期からの一貫した支援が行われるよう、これまで、乳幼児検診において、子育てや発達にかかわる相談や情報共有を行うことの重要性、個別の教育支援計画の活用の必要性などについて掲載した理解啓発資料を作成し、市町村教委や保健福祉部局に配布し、活用を働きかけるとともに、教職員や就学事務担当者を対象とした研修会で周知をしてきた。
道教委としては、本年度においても、引き続き、本事業を継続することとしており、特に、市町村教委の就学事務担当者研修会では、二十五年九月に就学手続きの変更に伴う政令改正が行われたことから、新たな就学システムや「教育支援委員会」への名称変更とその機能拡充について周知するとともに、障がいのある幼児児童生徒が十分な教育が受けられるよう、その保護者・本人を支援する体制整備の促進について働きかけていく。
また、こうした状況において、特別支援学校のセンター的機能を発揮した取組が一層期待されることから、特別支援教育コーディネーターなどの配置にかかる定数措置の拡充について、引き続き、国に対して要望していく。
(5)乳幼児・幼児教育の充実
幼稚部の学級編制については、国の定めがないことから、道教委では、単式学級の学級編制基準を小学部に準じて六人としているとともに、盲学校や肢体不自由特別支援学校においては三歳児について、聾学校においてはすべての年齢児について、同一年齢の幼児によって学級を編制する取扱いとしており、現行以上の措置については、財政上難しいものと考える。
(6)後期中等教育段階における特別支援教育の充実―重点・緊急
道教委においては、二十三年度から、「入学者選考の在り方検討委員会」を設置し、「生徒の障がいの程度や状態等に応じた学科に進学できるようにすること」「その中で、できるだけ身近な地域での進学がかなうようにすること」を協議の観点として検討を進め、「障がいの程度が相当に軽い生徒が出願する状況」「同一学科内で障がいの幅が大きい」など課題を整理するとともに、事前の教育相談を行うよう中学校・中学部に周知を図るほか、二十五年度知的障がい特別支援学校高等部募集要領に出願資格について説明を加えた。
二十五年十月に「道立特別支援学校高等部の在り方検討会議」を設置し、知的障がい特別支援学校高等部については、「職業学科と普通科の在り方」「学科の配置の在り方」「入学者選考の在り方」のほか、その他の障がいについては現状と課題について整理し、今後の方向性にかかる基本的な考え方について検討を行った。二十七年二月に本会議の報告を教育委員会および文教委員会に報告し、本年度、具体的な取組を進めている。
また、本年度、北海道の後期中等教育段階における特別支援教育に関する検討会議を立ち上げ、二十九年二月に検討報告として公表する予定である。
道教委としては、今後も校長会、関係課と連携を図りながら検討を進めるほか、必要に応じて外部有識者等を委員に加えるなどして、北海道の後期中等教育段階における特別支援教育の充実に向けて取り組んでいく。
(7)中学校における特別支援教育の理解促進と適切な進路指導の推進―重点
道教委では、二十四年度から、全教育局において、小・中学校の特別支援学級を担当する教員等に対して、特別支援学校高等部の教育内容等に関する理解を深め、障がいのある生徒やその保護者の進路選択を適切に支援できるよう指導力の向上を図ることを目的とした「特別支援教育進路指導協議会」を開催している。
本年度から、本協議会において、教員や保護者を対象とした「新しい形の特別支援学校高等部の在り方検討会議の報告」について説明するほか、ほっとネットなどを通じて、スケジュール等を広く道民に周知を図っている。
また、道立特別支援学校(高等部)の入学者選考については、本人と保護者が志望校の事前の教育相談を受け、本人の障がいの状態や高等部卒業後の進路希望等に応じた適切な進路選択となるための、きめ細かな進路指導を行うよう、各中学校に周知しており、今後も、中学校における進路指導の充実が図られるよう努めていく。
(8)センター的機能のより一層の充実を図るための施策の推進
二十年度から「特別支援教育パートナー・ティーチャー派遣事業」を全道域で実施し、小・中学校等からの派遣要請が年々増加していることから、引き続き重要な事業として位置付け、特別支援学校がセンター的機能を効果的に発揮できるよう努めていく。
また、特別支援教育に関する指導等の充実のため、全教育局に特別支援教育を専任的に担当する指導主事(特別支援教育スーパーバイザー)を配置しており、今後とも、市町村の支援体制の整備に関する指導助言などを行うとともに、特別支援学校や関係機関と連携を図り、取組の充実に努めていく。
(9)関係機関と連携した進路支援方策の推進
就労支援にかかる関係機関との連携を充実させるため、道障害者雇用支援合同会議等への参加など、労働、福祉、その他関係行政機関と連携した取組を行うとともに、進路対策会議および知的障害特別支援学校進路指導連絡研究協議会等を効果的に活用した連携の在り方などについても検討していく。
職業学科を設置する特別支援学校高等部生徒の就職促進については、「北海道雇用対策協定」に基づき、特別支援学校とハローワークがチーム支援方式によって、企業開拓から職場定着までを一体となって実施できる体制を整えるなどしていく。
また、障がいのある生徒が地域で自立して生活するためには、就労先を確保するとともに、就労が継続されるよう、関係機関との連携のもと、卒業後においても必要なサポートを行うことが重要であると考えており、道労働局、道保健福祉部との連携を十分に図りながら、道障害者職業センターおよび障害者就業・生活支援センター等による就労支援のネットワークを有効に活用できるよう、卒業後の支援の充実に取り組んでいく。
障がいのある職員が勤務する特別支援学校における環境整備については、関係する学校と連携を図りながら必要な措置について検討していく。
障がい者雇用にかかる合理的配慮に関しては、今後の国の施策動向を注視しつつ、関係部局とも連携して取り組んでいく。
(10)交流および共同学習の円滑な推進
特別支援学校の児童生徒にとって、交流および共同学習は、子どもたちの社会性や豊かな人間性を育成する上で意義ある活動であり、一人ひとりの教育的ニーズに応じ、居住地における交流および共同学習についても推進していく必要がある。
また、交流および共同学習に関する資料の作成と周知を図ってきているほか、本年度文科委託事業「学校における交流および共同学習を通した障がい者理解(心のバリアフリー)の推進事業」を取り組んでおり、その成果についても、理解啓発用資料の作成を予定している。
今後、こうした資料も活用しながら、交流および共同学習の一層の充実に努めていく。
(11)病院等併設校における特例通学制度の整備
病院、療育センターおよび知的障がい者施設等に併設されている学校や分校については、原則として、併設施設等に入院(所)している児童生徒を就学対象としているが、一部の学校において、通学できることなどを条件に、特例で、地域からの就学を認めている。
また、「特別支援教育に関する基本方針」においては、施策の方向性として、肢体不自由の施設併設学校について、「学校や併設施設の状況、地域における学校配置などを勘案しながら、地域からの就学も可能となるよう取り組む」としている。
普通教室や特別教室、給食施設などの設備面での課題はあるが、道教委としては、施設等に併設されている学校等における地域からの就学について、今後も引き続き、検討していく。
3 教育的ニーズに応じた特別支援教育の推進に関する事項
(1)安心・安全なスクールバス運行体制の確保―緊急
スクールバス乗降・添乗介助業務については、二十六年度から委託化を進めており、安全なスクールバス運行体制確保のため、委託化した学校の状況や課題などを把握し、業務処理要領(共通)の改善などに努めていく。
(2)修学旅行等の引率者数の増
修学旅行の引率にかかわっては、これまでも児童生徒の状況に応じて協議書を提出していただき、内容に応じて認めてきた経緯があり、加配を協議するに当たっての様式や記述の内容例等について事前に示すことによって、円滑な処理を進めてきている。
児童生徒の障がいの状態等は様々であるとともに、保護者が同行する場合は、付添人として移動等の介助の協力をいただいており、修学旅行の引率について一律に判断できないことから、今後も同様に対応を継続していく。
なお、消費税増加による一人当たりの単価の超過について、これまでの状況を踏まえ、必要に応じて検討していく。
(3)スクールカウンセラー活用事業の拡充
スクールカウンセラーの配置については、国のスクールカウンセラー活用事業(国庫補助事業)を活用し、札幌市立を除く道内の公立学校(主に中学校を対象)に配置している。
また、緊急に児童生徒の心のケア等が必要な場合は、配置校以外にも、スクールカウンセラーを緊急派遣している。
特別支援学校については、二十六年度から、特別な事情を有すると判断された特別支援学校に、スクールカウンセラーを配置することとしており、本年度は、七校に通年配置している。
道教委では、スクールカウンセラーの活用が、いじめや不登校等への対応として効果を上げており、学校の教育相談体制の充実を図る上で重要であると考え、引き続き、国に対して、スクールカウンセラー活用事業の拡充や制度の充実を要望していく。
道財政は極めて厳しい状況にあるが、引き続き、予算の確保に努めていく。
4 教職員の人事や教職員定数に関する事項
(1)学校規模や学校事情に応じた複数教頭の配置および教員配置の充実―重点・緊急
教職員については、標準法に準拠し、教頭については学校ごとに、教諭については障がい種別ごとの学級数に応じて配置しているほか、各学校や幼児児童生徒の実態に応じ、総定数の中で弾力的な配置を行っており、引き続き、特別支援教育の充実を図るための定数措置の拡充について、国に要望していく。
(2)自立活動教諭、専門的職員(PT、OT、ST等)の採用と配置
自立活動教諭等については、これまでも社会人特別選考を行うなど、有資格者の確保に努めてきた。
今後とも、各学校における配置定数に基づく教科バランスを考慮するとともに、学校のニーズを十分把握しながら、採用・配置に努めていく。
また、全校的な協力体制のもと、各教員の有する専門性を活用した学校としての組織的な対応や医療、福祉などの関係機関等と連携を図った取組の充実について、校長会と連携を図り検討していく。
▽二十年度の教員採用選考検査から、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)および視能訓練士(ORT)の資格をもった者を対象とする社会人特別選考枠を新設
▽二十七年度には、嚥下、咀嚼の専門性を有するSTについても新設
(3)特別支援教育コーディネーターの定数措置―重点
特別支援教育の推進に当たっては、様々な障がいのある児童生徒に適切な教育が行えるよう、引き続き、特別支援教育の充実を図るための定数改善について、国に対して要望していく。
すべての教育局にSVを配置し、特別支援学校との連携を強化した取組を進めてきており、今後も、地域の情勢に合わせた特別支援学校のネットワークとの組織的な取組となるよう検討していく。
特別支援教育の推進に当たり、障がいのある幼児児童生徒の教育的ニーズに応じた適切な教育が行えるよう、引き続き、特別支援教育の充実を図るための一層の定数措置の改善充実について、国に要望していく。
(4)事務職員の適切な人員配置―重点・緊急
事務職員の人員配置は、業務の集約化や学校事務処理方法の見直しに伴い、道立学校運営支援室および学校にそれぞれの業務量に見合った職員を配置することとしている。
今後とも、本庁関係課と連携し、一層事務改善の実効が上がるよう、事務処理方法等の改善などに努めるとともに、集約した業務の状況や集約効果、また、道立学校支援室の学校に対する支援の在り方を含めた課題などについて検証を行い、各道立学校や特別支援学校長会をはじめ関係教育団体からも意見を伺いながら、より効率的な学校運営に資するよう努めていきたい。
また、経験年数の少ない事務職員や職務換職員、障がいのある職員等の育成や支援については、持続安定的な組織運営や事務室機能の維持向上を図る上で重要であると考えており、職員一人ひとりがその能力を十分発揮できるよう、適切な人事配置に努めるとともに、人材育成方策やサポート体制の充実について検討し、併せて、可能な限り研修受講の機会を確保することができるよう努めていきたい。
(5)非常勤給食調理員等の配置
給食調理員(非常勤)の任用年齢は、原則満六十歳までであり、特別な事情のある場合は定数内技能労務職員の再任用の上限年齢(六十五歳)に合わせて任用することができる取扱いとしている。
なお、臨時給食調理員の採用年齢についても、原則満六十五歳までの制限を設けているが、地域的事情等によって、ほかに人材を得られない場合は特例を適用できる取扱いとしており、各学校や地域の実情に応じ、適切に運用願う。
(6)寄宿舎指導員定数の改善と宿直基準等の見直し
寄宿舎指導員の配置については、標準法に準拠しながら、各学校や幼児児童生徒の実態に応じ、総定数の中で弾力的な配置を行っており、引き続き、特別支援教育の充実を図るための定数措置の拡充について、国に要望していく。
(7)実習助手の適正配置
実習助手の配置については、標準法に準拠しながら、各学校の実態に応じ、総定数の中で弾力的な配置を行っており、引き続き、特別支援教育の充実を図るための定数措置の拡充について、国に要望していく。
5 教職員の研修に関する事項
(1)教員免許状の取得機会の拡充
免許法認定講習の実施と拡大については、会場や定員の拡大等に努めてきているが、今後とも、開催地や開催方法等について、道教育大学等と協議をしながら検討を行っていきたい。
聴覚に障がいのある受講者の情報保障について、今後も配慮していきたい。
本年度の聴覚障がい者の課程では、定員を拡大するとともに、領域の追加を希望する受講枠(二十人)を設けた。
また、特別支援学校教諭免許状を取得できる大学の周知についても努めていきたい。
(2)専門性向上のための研修事業の充実および校内研修への支援
医療的ケアの実施体制については、二十七年度は、新たに二校を加え、肢体不自由の六校のほか、知的障がいの十一校、視覚障がいの一校、聴覚障がいの二校、合わせて二十校に看護師を配置するとともに、医療的ケア実施校長等会議の際での現状と課題等の共有と要項等の周知、医師会・看護協会や保護者の代表者などで構成する医療的ケア連絡協議会を設置し、看護師や教員に対する研修会を実施するなどして児童生徒の学習環境の整備に努めており、今後も、実施体制の充実に努めていく。
医療関係者が巡回や相談支援などが行える体制整備については、財政上、大変厳しい状況にあるが、連絡協議会などの協議を通して医療関係者との連携に一層努力していく。
また、ハンドブックの改定について、児童生徒等の医療的ケアの内容が、より高度化および複雑化している傾向にあることや、社会福祉士および介護福祉士法の一部改正を踏まえ、手続きや手技等について、ハンドブックの内容を改善していく。
(3)寄宿舎指導員、実習助手、介護員の研修の充実
児童生徒の障がいが重度・重複化、多様化する中、寄宿舎指導員等の専門性の向上を図ることは重要である。
このため、道立特別支援教育センターにおいて、寄宿舎指導員等を対象として開催している旅費措置講座の特別支援学校生活指導等研修講座については、本年度、幼児児童生徒の障がいの理解、性の指導等についての講座内容で八月十一日、十二日の二日間にわたって実施した。
また、二十一年度からは、各教育局で開催している「生徒指導研究協議会」において、寄宿舎指導員を参加対象に加えており、今後も研修の機会の確保に努めていく。
(4)事務職員の資質向上に向けた研修機会の確保と研修内容の充実
事務職員および職務換職員について、可能な限り研修受講の機会を確保するとともに、資質能力向上につながる育成・支援の方策を検討していく。
6 施設設備や教育環境の整備に関する事項
(1)安心で安全な学校給食の提供および給食関連運営予算の確保
障がいの状態に対応した安心で安全な学校給食の提供については、二十三年度に実施した「学校給食施設の一斉点検」において、「学校給食衛生管理基準」に基づき改善を指摘された道立特別支援学校については、必要な予算措置をするとともに、すべての施設において改善を図ったが、児童生徒数の増加や二次調理に対応できる施設や設備の計画的な配備について、関係課と連携を図りながら検討していく。
また、学校給食における業務委託については、すでに、安全・衛生対策に不備が生じないよう、受託者に対し、学校給食衛生管理マニュアル等を遵守するよう契約書(業務委託仕様書)に責務を定めている。
なお、給食関連運営予算については、学校運営費の一部として確保しており、厳しい財政状況にあるが、今後とも、給食が円滑に運営されるよう適正な予算の措置に努めていく。
(2)校舎や寄宿舎の改修等の計画的な推進―重点・緊急
校舎および寄宿舎の改修等については、道の施設整備方針の「原則、道有の建物は新増築を行わないこと」や「適期に大規模修繕を行うなど適切に維持管理しながら法定耐用年数以上使用すること」を基本とし、現在、築後二十年および築後三十五年を目処に大規模改造工事を実施するなど、良好な教育環境の整備が図られるよう、計画的な事業の実施に努めている。
引き続き、児童生徒の安全面や学校運営等に支障がないよう、大規模改造工事等の事業実施のほか、緊急性の高いものから必要な補修を行うなどしていく。
なお、今後、二十八年度以降における道の「新たな行財政改革の取組」が策定される予定であり、これを踏まえながら、適切な施設・設備の整備に努めていきたい。
(3)校務支援システムの改善および情報通信環境の充実
特別支援学校における校務支援システムについては、学校や障がい種ごとに校務の処理状況が大きく異なり、現行の校務支援システムにおいては、まだ、十分に対応できていない。
今後、特別支援学校における校務支援システムの一層の活用に向け、他府県での特別支援学校における校務支援システムの活用事例などを研究するとともに、昨年度実施したアンケート調査の分析を行い、特別支援学校の実情に応じた校務支援システムの改善について、特別支援学校長会などと連携を図り検討していく。
ICTの活用については、現在、各校にリースパソコンを整備しているが、専任の技術者の雇用やメンテナンス、通信費用等については、財政上、新たな予算措置は厳しい状況にある。
情報教育機器拡充の対応については、道財政が厳しい中ではあるが、必要な予算確保を検討していく。
(4)学校管理運営予算の確保
学校運営費の配分については道財政が厳しいことから、二十七年度当初配分において、各学校に対し一般需用費の節約を実施し、各学校の実情に応じた節約をお願いしている。
道財政が厳しい状況ではあるが、学校の管理運営に必要な予算の確保に努めていきたい。
当課としては、道財政が厳しい中ではあるが、引き続き、学校の管理運営に必要な予算の確保に努めていく。
(5)危機管理対策にかかる予算の充実―緊急
緊急時の視覚情報提示装置等については、道財政が厳しい中であるが、学校要望を受け二十五年度に対応してきた。
なお、今後も必要な予算の確保について検討していく。
非常変災等発生時における飲食料の備蓄については、道立学校「業務継続計画」策定の指針等に基づき、各校で個別マニュアルを策定している。
非常変災等発生時における「給食調理業務委託」については、実情に応じて、適切に対応していく。
7 その他
(1)副校長、教頭、事務長の専決事項の見直し
副校長、教頭、事務長の専決事項については、「道立学校事務専決代決規程」を定めているが、さらに事務効率を図るべき事項等について、校長会等と連携の上、研究していく。
(2)栄養教諭・学校栄養職員の給食にかかる業務内容・業務量の改善
道教委では、二十七年一月に寄宿舎給食にかかる栄養教諭、事務職員、調理員および寄宿舎指導員の業務内容について、調査を実施しており、その際、各学校で管理職員が栄養教諭等に業務状況を聞き取っている。
今後、当該調査結果を関係道立学校へ情報提供するとともとに、必要に応じ、栄養教諭や学校栄養職員の業務内容・業務量が適切となるよう、校内における支援体制について助言・指導していく。
なお、栄養管理ソフト等の利用については、各学校が実情に応じて利用している場合もあると承知している。
道教委としては、現時点で特定の栄養管理ソフト等の導入は予定していないが、各学校での利用状況など把握していく。
(3)ミドルリーダーや管理職候補者の育成
特別支援学校におけるミドルリーダーや管理職候補者の育成・確保については、指導主事による学校訪問などの機会を活用して、ミドルリーダーや管理職を目指す教職員が減少している要因等について把握し、課題を整理した上で、校長会と連携を図りながら、意図的・計画的な人材育成に向けた具体的な方策を検討していく。
(4)管理職の待遇改善―重点・緊急
給与の縮減措置については、「道財政運営の健全化のための給与措置」として実施しているので理解願いたい。
(道・道教委 2015-12-28付)
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