道教育大が特別支援学校研究フォーラム開く “わかる・できる”授業を シンポジウムやセミナーで研鑚
(学校 2016-01-14付)

特別支援学校研究フォーラム
特別支援学校研究フォーラム

 【函館発】道教育大学は九日、道教育大学附属特別支援学校で二十七年度道教育大学附属特別支援学校研究フォーラムを開催した。道内外の教員約百五十人が参加。「北海道の特別支援教育の授業力を考える~子どもたちがわかる・できる・楽しむ授業を目指して」をテーマに、シンポジウムやテーマ別セミナーを通じ、授業力の向上に向けて研鑚を積んだ=写真=。

 フォーラムは、道教育大、道教育大函館校地域連携センター、道教育大附属特別支援学校の共催。道教委と函館市教委が後援した。若手教員を中心に道内各地から参加者が詰めかけたほか、青森県からも現職教員が参加した。

 シンポジウムでは、四人のシンポジストが登壇。道教育大釧路校の小渕隆司准教授が「児童生徒との関係づくりの力」と題して話題提供を行ったほか、道教育大函館校の北村博幸准教授が「実態把握の力」、道教育大札幌校の青山眞二教授が「計画する力」、道教育大函館校の細谷一博准教授が「支援する」と題し、それぞれフォーラムのテーマに沿った授業力向上のヒントを示した。

 小渕准教授は、児童生徒との関係づくりにおいて、子どもたちからの発信の仕方や内容、教師として理解する際の要点を説明する一方、教師から発信する際の注意事項などを説明。子どもたちが物事を認知する際に「情動」を表出する場合があることを示しながら、教師と子どもが相互に多くの「情動」経験をもたらし合い、介入し合い、対処する関係にあることを強調した。

 北村准教授は、特別支援教育で求められる実態把握の力を解説。個人内と個人間、二つの個人差を念頭に、子どもたちの得意な学習スタイルを含め、実態把握に努めていく必要性を示した。

 青山教授は、最適な授業を計画する力について語り、教育的ニーズについての妥当性をしっかりと判断し、短期・中期の目標を選択した上で、指導結果や指導方法について必ず評価・分析していくことの重要性を強調。細谷准教授は「できる行動」と「している行動」に分けて具体的な支援事例を示しながら、過剰に陥ることのない支援の在り方を説明した。

 シンポジストの話題提供に続いて、参加者を交え質疑応答も行われた。日々、現場で奮闘中の若手教師からは、親のニーズへの対応の難しさを訴える声が上がった。

 青山教授は、教師と親が思いをぶつけ合い、個別指導計画の中で優先順位をつけていくことの大切さを示した。北村准教授は親のニーズについて、要求や希望、願いなどがあり、すべてのニーズに応えていく必要はないとしながらも、親が欲していることを情報としてとらえておく必要性を示した。細谷准教授は「特別支援教育は一人で問題を抱え込まないことが大切」と述べ、チームで支援していく力を各現場で再確認するよう促していた。

 シンポジウムに引き続き、四つの分科会に分かれてセミナーが行われた。参加者は各セミナーで、他校の実践事例などを学ぶとともに、様々な課題の解決に向けたアドバイスに耳を傾けていた。

(学校 2016-01-14付)

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