道教委27年度通常学級における要支援者数調査 幼小中高全体2.6%、8654人に 個別の指導計画86.9%で作成
(道・道教委 2016-02-19付)

 道教委は、二十七年度「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒等に関する調査」結果をまとめた。公立幼・小・中・高校(札幌市を除く)の通常学級における特別な教育的支援が必要な児童生徒等(要支援者)は、全体の二・六%に当たる八千六百五十四人で、在籍者の比率は前年度と比べて〇・一ポイント上昇。個別の指導計画は全体の八六・九%で作成しており、前年度より三六ポイント上回った。

 調査は、要支援者の在籍割合およびその支援状況等の実態を明らかにし、今後の取組の在り方を検討するための基礎資料とすることを目的に、二十五年度から行っている。本年度は、札幌市を除く公立のすべての幼稚園、小・中学校、高校、中等教育学校合わせて一千七百十六校を対象に実施し、調査票の回収率は一〇〇%。二十七年十一月一日現在の「要支援者の状況」と「学校の取組」についてまとめた。

 要支援者の状況の調査結果をみると、校内委員会において要支援者と判断された在籍者は、全校種合わせて八千六百五十四人(前年度八千六百六十七人)で、全体の二・六%(同二・五%)を占める。内訳は、幼稚園が百四十一人で六・七%(同五・六%)、小学校が六千四百六十五人で四・一%(同四・〇%)、中学校が一千四百四人で一・六%(同一・六%)、高校が六百四十四人で〇・七%(同〇・六%)。

 要支援者と判断した理由は、「知的な遅れはないが、発達の状態による学習面や行動面の困難があるため」が七三・八%、「知的な遅れによる学習または生活上の困難があるため」が一五・三%だった。

 要支援者の困難な状況として挙げているのは、「全体への指示や説明を聞いて理解することが難しい」が五二・〇%、「気が散ることが多い」が四九・二%、「文章題を解くことが難しい」が四七・一%、「答えを得るのにいくつかの手続きを要する問題を解くのが難しい」が四四・二%など。

 個別の指導計画作成の割合は、全体で八六・九%となり、前年度と比べて三六ポイント上昇した。校種別では、幼稚園が八七・二%(前年度八一・九%)、小学校が八九・八%(同五二・七%)、中学校が七四・八%(同四〇・二%)、高校八四・六%(同四八・五%)と、全校種で改善した。

 活用の状況をみると、「校内での支援の充実を図るため、校内委員会やケース会議において活用している」が七九・七%、「進級や進学時に一貫した指導の継続を図るため、引き継ぎに活用している」が五七・四%、「指導の充実を図るため、年間指導計画や学習指導案等の作成に活用している」が五一・六%、「保護者との共通理解を図るため、指導についての説明を行う際に活用している」が三四・三%と続いた。

 このうち、保護者との共通理解においては、作成した人数七千五百二十四人に対して、実活用人数は二千五百八十人だった。

 一方で、作成していない理由は、七八・九%が「作成が間に合っていないため」。このほか、「当初、支援が必要と判断していたが、個別の指導計画を作成する前に、支援が必要かどうかの判断を変更する可能性が出てきたため」などが挙げられた。

 個別の教育支援計画は、全体の二七・〇%が作成しており、前年度より三・六ポイントの増。校種別では、幼稚園八〇・九%(前年度六六・〇%)、小学校二五・九%(同二二・三%)、中学校二五・一%(同二一・六%)、高校三〇・四%(同二九・三%)だった。

 活用の状況について、「校内での指導や支援の内容を検討するため、校内委員会やケース会議において活用している」が七二・八%、「指導や支援の充実を図るため、個別の指導計画、年間指導計画、学習指導案の作成に活用している」が五七・二%、「一貫した指導や支援を図るため、就学時や学校間、卒業後の就労先への引き継ぎに活用している」が五二・八%、「支援内容の改善を図るため、支援の結果を記録し、評価に活用している」が五一・六%と続いた。

 作成していない理由は、「保護者の同意が得られていないため」が六三・〇%、「作成が間に合っていないため」が三七・〇%。作成していない場合の準備としては、「保護者との相談記録等の蓄積」(六六・五%)、「校内研修プログラムを活用した研修」(二三・六%)などを行っている。

 一方、特別支援教育コーディネーターの状況では、コーディネーター対象の研修を受講した回数が「一~二回」の割合が全体で六一・九%と高く、「ゼロ回」の教諭の割合は全体で一〇・一%と前年度より一八・一ポイント下降した。

 コーディネーターのうち、特別支援学校教諭免許状を有する教諭の割合は、全体で四四・六%と前年度より六・一ポイント上昇。校種別では、幼稚園一・七%(前年度七・六%)、小学校五二・八%(同四六・二%)、中学校五〇・六%(同四三・三%)、高校九・〇%(同六・五%)となっている。

 道教委では、「各学校の取組の成果が表れている」とし、今後は調査結果を踏まえて施策を改善・充実し、通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒等に対する指導・支援の一層の充実を図る考え。

(道・道教委 2016-02-19付)

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