本道教育向上へ団結を 道中理事研・小西会長あいさつ概要(関係団体 2016-02-24付)
道中学校長会第六回理事研修会(十九日、ホテルライフォート札幌)における小西俊之会長のあいさつ概要はつぎのとおり。
本年度は、「連携し、前進する道中」を合言葉に、「生きる力の育成」「教育の質の向上」に向け、全道六百四人の会員の繋がりを大切にして活動の充実に努めてきた。同時に、道小学校長会との連携を強化し、「オール北海道」を合言葉に本道の義務教育の向上に向かって、足並みをそろえて取り組んできた。
また、道教委とは適切なパートナーシップに基づく双方向の関係確立に努め、タイムリーな情報提供や道教委の施策に対して意見を求められる機会が増えてきていると感じている。
これからも、各地区の実態や取組の積極的な発信に努める中で、学校が十分に力を発揮できる教育条件・教育環境整備の支援を要望していくことが重要と考える。さらに、教育関係機関ならびに教育関係団体の皆さんとも「オール北海道」の関係を大切にし、本道教育の向上に向け、力を合わせていきたいと思う。
本年度の活動を振返ると、最重点活動である研究大会が強く心に残っている。本年度は、江差町を会場に桧山校長会に運営していただいたが、準備段階から小学校の校長先生がかかわってくれるなど小・中学校の連携を心強く感じた。
また、分科会の運営では、渡島小中学校長会・函館市中学校長会が地区を跨いだ積極的な協力を行ってくれた。そして、五つの分科会において地区校長会の組織的な研究が提言され、グループ討議では会員が互いの顔を見ながら意見を交流し合うことで、意義ある分科会になったととらえている。
本年度の成果が、次年度の上川・旭川大会につながり大きな成果をあげるとともに、本会会員の絆も受け継がれていくものと期待している。
併せて、全日中福岡大会に参加いただいた皆さん、第七分科会において提案をしていただいた後志と小樽市の校長会に対してあらためて感謝申し上げる。遠方の研究大会は時間面や金銭面の負担が大きく、各地区とも苦慮されているところであるが、道中の絆と同様に全日中の絆も大切にするようお願いしたい。
では、この一年を振り返りながら、四点についてお話しさせていただく。
▽「学ぶ力」と「健やかな身体」の育成について
学習指導要領全面実施となり四年目が経過した。各学校では、その基本理念である「生きる力」の育成を念頭に置き、校長のリーダーシップのもと、年度の重点目標を達成すべく創意工夫を生かした特色ある教育課程の編成・実施・評価・改善に努めているところと思う。
まず「学ぶ力」に関してであるが、それらを測る指標の一つとして全国学力・学習状況調査の結果に本会も着目し、各学校での活用を呼びかけてきた。各学校では、自校や生徒一人ひとりの結果を道教委の分析ツールを活用するなどして分析し、できるところから改善策に取り組んでいるところと思う。
今後も生徒の学習状況や学校での取組について丁寧な発信に努め、家庭や地域と一体となった取組を通して成果を上げていきたい。
また、一方で、学力の二極化への対応など個に応じた指導の充実に向けた人的支援、学ぶ意欲を含めた授業力向上に向けた研修の充実など行政の支援も必要であると考える。
本年度、文部科学省が要求した教職員定数の充実に対し財務省から厳しい主張が繰り返され、本会としても全日中と連携し、二度の緊急要請活動を行った。本年度の加配定数削減は見送られたものの、依然として厳しい状況が続いているようである。
さらに、本道には小・中学校の約四割をへき地校が占めるという課題がある。先ごろ発表された人口統計で、札幌市への一極集中がますます進行している状況がクローズアップされた。全道どこの地域で学んでも同等の教育を受けさせることが公立学校の使命である。地方の切り捨てがまかり通る社会にならないよう、へき地校の課題を明らかにし、環境整備の必要性を行政に働きかけていかなければならない。
また、小中一貫教育の導入に向けた先導的な取組を行う北海道「小中一貫教育推進事業」運営会議に加わり、四つの協力市町村の指定校等とともに三年間運営面の検討を行うのでお知らせする。
つぎに、「健やかな身体」に関してであるが、年末に発表された「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の結果では、本道の体力合計点が前年度より上昇し、多くの種目で全国との差が縮まるなど改善の兆しが表れた。
一方、一月に発表された学校保健統計調査の結果から、本道の子どもたちは、男子はやや改善がみられたものの、依然として肥満傾向にあることが分かった。本会としても運動習慣づくりを通した体力向上や生活習慣の改善に引き続き取り組みたい。
▽「豊かな心」の育成について
「豊かな心」に関しては、全国共通の喫緊の課題であり社会問題にもなっている「いじめ」の問題に取り組んできた。各学校では、いじめはどの学校でも起こり得るという危機感をもち、日常的な予防と迅速な対応に努めているところであり、誰もが居場所のある学校づくりに努めているところと思う。
また、「いじめ防止基本方針」が策定され、重大な案件に関して速やかに対応組織を招集し、教育委員会と連携した対応がとられていると思うが、命にかかわる重大事故が決して起こることがないよう、教職員が一丸となって全力で取り組まなければならない。
三月は、国が主体となって実施する「自殺対策強化月間」でもある。すべての生徒が希望をもって、新年度を迎えることができるよう丁寧な配慮をお願いする。
また、依然として発生件数の多い現状を改善していくため、本会としても研究活動の中で実効性のある取組を紹介するなど実践交流に努めたいと思う。特に、近年は、インターネット機器の利用を通したいじめの発生が大きな問題となっており、利用率の増加とともにトラブルもますます増加し、長時間の利用による健康被害や生活習慣への悪影響も指摘されている。
本会も「道子どもの生活習慣づくり実行委員会」の一員として、関係団体と連携した運動を強く推進していこうと考えるので、各地区での取組をよろしくお願いする。
「不登校」については、依然として中学校で急増する状況が続いており、さらに小中学生に占める新規不登校の割合の増加が懸念されている。不登校の原因は様々であり、各学校ではその対応に苦慮しているところと思うが、相談活動や個別の支援の一層の充実が求められる。スクールカウンセラーの全校配置や支援員の拡充など人的支援の拡大を強く要望しなければならない。
思春期とも重なることが多い中学生の時期に、豊かな心を育成する取組が極めて重要であることは言うまでもない。各学校においては、心を育むための全体計画を策定するなど、「特別の教科 道徳」をはじめとした教育課程の工夫・充実をお願いする。
▽服務規律の確保について
服務規律の確保については学校の信頼にかかわる重大な問題ととらえ、引き続き法規法令に基づく学校運営をお願いしてきた。各学校では、管理責任者である校長がリーダーシップを発揮し、教職員に対し繰り返し指導・研修を行っているところと思う。
しかし、体罰や交通事故等にかかる処分が後を絶たず、誠に残念であるが生徒に重大な影響を与えた事件も起こっている。また、最近では、教科書採択にかかわる問題が浮上し、道内においても関係する教員に対する聞き取り調査が始まった。
私たち校長も、教科書採択の公正確保にかかる文科省通知を十分理解し、職員への指導を行わなければならない。特に、教科研究団体と教科書会社の関係に気を付けなければならないと考る。
▽その他について
道内の学校統廃合が年々進むことで学校数および会員数が年々減少していること、加えて二十九年度から実施される県費負担教職員制度の見直しに伴う政令指定都市への税源移譲に対応するため、前年度より組織検討委員会を設置し検討を重ねてもらった。
また、第四回全日本中学校長会理事会が、一月二十二日に開催された。「全日中教育ビジョン」が三年ぶりに改訂され、間もなく配布される予定である。「全日中教育ビジョン」は、中学校教育の在り方や具体的な教育活動を展開する上で大きな指針となるものであり、道中としても本会の重点にリンクさせ、その具現化に向け組織的に取り組んでいる。各地区校長会においても、活動計画に積極的に取り入れ、活用していただくようお願いする。
結びになるが、本日の理事研修会において新会長、新事務局長が決定される。そして、私は本日をもって会長を退任させていただく。この一年、特段力もない私であったが、副会長はじめ理事の皆さん、各地区校長会の皆さんの理解と支援のおかげで、会長という大役をここまで務めることができた。期待に十分応えることもできず心苦しく感じているところであるが、あらためて皆さんに心より感謝を申し上げる。
本日の理事研修会は、本年度の活動についての報告と二十八年度の活動の方向性について提案するので、協議のほどよろしくお願いする。
(関係団体 2016-02-24付)
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