27年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査―道教委が北海道版報告書 小中男女とも改善傾向 154市町村の状況など掲載
(道・道教委 2016-02-26付)

 道教委は、『二十七年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査北海道版結果報告書』を取りまとめ、二十五日の道議会文教委員会に報告した。前年度より四十市町村増の百五十四市町村における小・中学校の状況と体力向上策を掲載。小・中学校の男女とも体力が改善傾向にあることについて、道教委は、「市町村教委と学校との連携が成果として現れてきている」と評価。対象学年以外の新体力テストの実施や学校全体の体力・運動能力の目標設定の必要性を呼びかけていく。

 『二十七年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査北海道版結果報告書』から本道の特徴的なデータをみると―

▼全道の状況

 体力合計点は、小学校男子が五二・六七点(全国五三・八〇点)、女子が五三・五六点(同五五・一八点)、中学校男子が四〇・一〇点(同四一・八九点)、女子が四四・八三点(同四九・〇八点)。

 体力合計点を国が定めた基準表に基づき、高い順からA~Eの五段階に区分した総合評価をみると、体力合計点が低い児童生徒(D・E層)の割合は、小学校男子が三五・六%(全国二九・九%)、女子が三二・三%(同二四・八%)、中学校男子が三五・四%(同二八・九%)、女子が二四・二%(同一三・四%)と、いずれも全国より高い。

 前年度との比較では、小学校男子が同じだったほか、小学校女子で一・九ポイント、中学校男子で一・五ポイント、女子で一・六ポイント改善した。

 大都市・中核市(札幌、旭川、函館)、その他の都市、町村、へき地の都市階級ごとに四区分に分類したところ、体力合計点が最も高かったのは、小学校男女・中学校女子がへき地(小男子五三・六四点、小女子五五・七一点、中女子四七・二六点)、中学校男子が町村(四〇・七二点)。最も低かったのは、小中男女のいずれも大都市・中核市(小男子五一・九二点、小女子五二・六一点、中男子三九・四六点、中女子四四・一〇点)だった。

 また、前年度と同様に管内、市町村、学校によって体力合計点にばらつきがあり、特に、小学校女子では、最も高い桧山の五七・八八点と低い日高の五二・五八点で五・三〇点の差があった。

 全国の体力合計点を上回った市町村数は、小学校男子が六市町村増の七十八市町村、小学校女子が十二市町村増の八十市町村、中学校男子が同数の四十二市町村、中学校女子が七市町村増の四十市町村。その割合は、中学校男子で〇・一ポイント増の二三・六%となるなど、小中学校男女のいずれも増加した。

 全国の体力合計点を上回った学校数は、小学校男子が二十六校増の三百六十九校、小学校女子が五十六校増の三百七十五校、中学校男子が十校増の百六十九校、中学校女子が七校増の百十九校といずれも前年度より増加。その割合も小学校女子で六・一ポイント増の四〇・一%となるなど、いずれも増加した。

▼管内の状況

 体力合計点が最も高かった管内は、小中学校男女のいずれも桧山であり、小学校男子が五五・六四点、小学校女子が五七・八八点、中学校男子が四一・二一点、中学校女子が四七・二九点。

 学校質問紙調査で道教委が課題に挙げていた、学校全体で体力・運動能力のための目標を設定している学校の割合について、最も高いのは小学校では日高の八九・三%、中学校では胆振の八二・二%が最も高かった。

 もう一つの課題である、調査対象学年以外で新体力テストを実施している学校の割合は多くの管内で増加。管内別にみると、新体力テストを小学校第四学年で実施している学校の割合が最も高いのは留萌の一〇〇%、中学校第一学年で実施している学校の割合が最も高いのは空知、桧山、留萌で一〇〇%だった。

▼市町村の状況

 二十七年度調査でも前年度と同様に市町村教委の同意を得た場合には、当該市町村名を明らかにして公表しており、前年度より四十市町村増の百五十四市町村が掲載に同意した。

 同意した市町村は、小中学校別に状況と体力向上策を提示。掲載の共通項目は、各種目の状況について全国を五〇としたときの全国と北海道、市町村の数値(T得点)を示したレーダーチャート、実技・児童生徒質問紙・学校質問紙に関する調査の分析結果、市町村内の体力の課題などの分析を踏まえた体力向上策の三点。

 このほか、体力合計点や児童生徒質問紙、学校質問紙に関する調査結果の状況を示す様々なデータの中から、市町村の児童生徒の傾向や学校の取組の特色などを表す内容も掲載したため、市町村ごとに取り上げた内容は異なる。

 独自の体力向上策では、町教委によるイベントでの体力・運動能力テストや各種スポーツ教室の開催(せたな町)、町民体育祭やスキー大会、子ども相撲大会など社会教育を活用した町独自のスポーツ振興事業の展開(奥尻町)、体育の授業改善および教員やスポーツ少年団指導者を対象とした子どもの体力向上のための研修会の開催(厚真町)、町内小・中学校マラソン記録会に向けた体力づくり(豊浦町)などが報告されている。

 道教委は、「市町村教委と学校との連携が成果として現れてきている」「全国平均には至らないが、年々体力合計点は改善して差を縮めている。さらに加速していきたい」として、二十八年度は、対象学年以外の新体力テストの実施を呼びかけるほか、体力向上パワーアップ事業の研究指定校の成果を教員や保護者に情報提供する場の設定などを計画している。

(道・道教委 2016-02-26付)

その他の記事( 道・道教委)

27年度渡島管内教育実践表彰式 多大な功績に敬意表す―渡島教育局

渡島局教育実践表彰式  【函館発】渡島教育局は二十三日、道立函館美術館で二十七年度渡島管内教育実践表彰式を執り行った=写真=。受賞した四校、五個人に辻俊行局長が表彰状を手交。多大な功績に敬意を表するとともに、今後...

(2016-02-29)  全て読む

道の28年度私学関係予算案 1・9%減、476億円

 道は、二十六日に開会した一定道議会に二十八年度私学関係予算案を提案した。予算規模は、前年度肉付補正後比一・九%減、総額四百七十六億二千二百九十万円。  主な事業をみると、私立高校管理運営...

(2016-02-29)  全て読む

5団体1個人たたえる 後志局が27年度管内教育実践表彰式挙行

後志局管内教育実践表彰式  【倶知安発】後志教育局は二十三日、後志合同庁舎で本年度後志管内教育実践表彰式を挙行した。武田信吾局長が五団体一個人の優れた教育実践をたたえ、それぞれに表彰状と記念盾を手渡した=写真=。 ...

(2016-02-29)  全て読む

道いじめ問題審議会開く 保護者との信頼関係構築 調査委提出の提言を踏まえ

道いじめ問題審議会  二十七年度第二回道いじめ問題審議会が二十三日、札幌市内の北農健保会館で開かれた=写真=。道いじめ調査委員会が道に提出した提言への対応について協議した。開会あいさつで、杉本昭則学校教育監は「...

(2016-02-26)  全て読む

渡島局が特別支援連携協議会開く 個別のニーズに対応を 支援体制強化へ情報共有

渡島局特別支援連携協議会  【函館発】渡島教育局は十九日、渡島合同庁舎で第二回特別支援連携協議会および専門家チーム会議を開催した。三十人余りが出席。障がいのある幼児児童生徒の支援体制を強化するため、管内関係団体の対応...

(2016-02-26)  全て読む

道教委がSSW連絡協・フォーラム 学校等との連携方策探る 実践報告やパネル協議など

道教委SSW連絡協フォーラム  道教委は二十三日、道庁別館で二十七年度第二回スクールソーシャルワーカー連絡協議会兼スクールソーシャルワーカーフォーラムを開いた=写真=。スクールソーシャルワーカー(SSW)活用事業のSSW...

(2016-02-25)  全て読む

オホーツク教育局いじめ問題等対策連絡協議会 未然防止へ6つの提言案 事例発表など踏まえ議論

オホ局いじめ対策連絡協  【網走発】オホーツク地域いじめ問題等対策連絡協議会の本年度第二回会合が十六日、オホーツク合同庁舎で開催された。豊かな人間性を育む心の教育の充実、子どもと過ごす時間の充実、教職員を対象とした...

(2016-02-25)  全て読む

「学びカフェ」推進事業作業部会 〝聴く・話す〟留意点示す 3月にハンドブック配布

 道教委が設置する地域の教育力向上推進委員会家庭教育「学びカフェ」推進事業作業部会は、『家庭教育ナビゲーターハンドブック(案)』を作成した。コミュニケーションのポイントと子育てに関する話題の...

(2016-02-25)  全て読む

子育て・家庭教育アンケート調査―道教委 子育てにスマホ使用32.2% 保護者向けプログラム作成へ

 道教委は、「子育て・家庭教育に関するアンケート調査」の結果をまとめた。幼児の保護者で、泣きやませたり、あやしたりするときに、スマートフォンやタブレット端末を「よく使う」「時々使う」保護者が...

(2016-02-25)  全て読む

道教委さわやかリポート富良野緑峰高生徒が教育長に省エネ大賞受賞を報告

道教委さわやかリポート  二十七年度「北国の省エネ・新エネ大賞」に輝いた富良野緑峰高校(宮本鎮栄校長)の三年生二人が十八日に道教委を訪れ、柴田達夫教育長に受賞の喜びと今後の抱負を報告した=写真=。  道教委「がん...

(2016-02-24)  全て読む